自民党と公明党がすったもんだの末、財源を明示しないまま、生鮮食品、加工食品に軽減税率を適用することで妥結しました。

 私はこの決定に明確に反対したいと思います。特定の品目に対する軽減税率は、事務作業を困難にし、税制をゆがめるだけで、設定すべきではありません。消費税は一律10%に設定したうえで、その逆進性対策は、還付金若しくは給付金で行うべきです。今回の決定は、単に選挙目当ての朝三暮四にすぎず、国家の未来に責任を負うべきものとして、行うべきものではないと、私は思います。

 この意見は、ご承知の通り私のオリジナルでもなんでもなく、既に多くの人から指摘されている、ごく一般的なものにすぎません。にもかかわらず与党において特段の異論もなく軽減税率の議論が押し通され、どことは言いませんが、今まで「国民に正直に給付をお願いする政治」をメイン掲げていた政党や政治家までが、あっさりとこれを容認して絶賛までしてしまうのは、「国民に負担をお願いする」政策を実行して選挙に勝利することは極めて難しいという極めてシンプルな事実に、政治家がだれも抗おうとしないからに外なりません。

 誰だって税金をとられるのは嫌です。普段は0.5%のポイントが、ポイント2倍デー、3倍デーには1%、1.5%になることを無上の喜びとしている私にとっても(笑)、トマト1パック300円を買って、消費税30円を払うより、24円の方がいいには決まっています。300円で6円とバカにするなかれ、3000円で60円、6000円で120円ですから、私のような独身ならいざ知らず、4人、5人のご家庭なら、普段の買い物1回で、普通にプリン1個、コロッケ1個、牛乳1本の差は出てきます。2%は、勿論大きな違いです。

 しかし、です。当然ですが、この2%は、社会保障に使わうために、上げなければならないお金だったはずです。社会保障費を増やさなければ、十分な年金と十分な介護を受けられない高齢者の方がいるから、社会保障費を増やさなければ、十分な医療を受けられないお母さんお父さんがいるから、社会保障費を増やさなければ、十分な教育を受けられない子供たちがいるから、社会保障費を増やさなければ十分な就労支援を受けられない失業・転職者がいるから、社会保障を増やさなければ十分な支援を受けられないハンディを持った方々がいるから、増やさなければならなかったはずのお金です。
 政府はこれらの社会保障に使うべき6000億円の財源の目途を、現時点で全く立てていません。勿論期限とされた平成29年4月までには何らかの形で財源を確保するのでしょうが、公務員賃金を2年連続で上昇させ、国会議員給与を年間421万円も増加させるなど、行政コストの削減に全く熱意を示していない現政権下において、それは、まず間違いなく、何らかの増税か、若しくは、福祉の削減によって実現されることになるでしょう。
 結局今回決定された軽減税率は、国民の負担を軽減するものなどでは全くなく、単に負担を付け替え、場合によっては、むしろ全体として国民の負担を重くする、文字通りの「朝三暮四」にすぎないのであって、選挙目当てに国民を欺く恥ずべき手法であると断ぜざるを得ません。

 維新の党にもすったもんだがありましたが、私は、「選挙目当てで誤魔化すことなく、必要な負担を国民に示し、しかし、その負担が将来において結実することを約束し、それを実現することで、適正な負担と給付を実現する」という維新の結党の理念、「今りんごを配ることはできなくても、すべての国民が自らの能力に応じて汗を流し、負担を分かち合い、将来において豊かなりんごを収穫できる大地を耕す」という維新の心を、決して失うことなく持ち続けているつもりです。

 その維新の矜持を胸に、私は正々堂々、申し上げたいと思います。

「消費税10%は確かに重いです。それを払うのは、確かにつらいです。
 しかし、私達の社会保障は今、危機に瀕しています。年金で暮らせない人、介護を受けられない人、医療を受けられない人、教育を受けられない人、失業して次の仕事が見つからない人、個人では克服できないハンディに苦しむ人が、今の日本にはたくさんいます。その人達が正当な支援を受けられるために、10%の消費税を、どうか、負担してください。
 私は、そのお金で、責任をもって、誰もが年金で安心して暮らせ、誰もが必要な介護を受けられ、誰もが適切な医療を受けられ、どの子供も能力に応じた教育を与えられ、失業した人がやる気と能力に応じて次の仕事を見つけられ、ハンディを持ったすべての人がふさわしい支援を受けられる、そう言う社会保障制度を作ります。
 それは勿論、負担をしてくださったあなた自身が困ったときに、あなた自身を救うために、使われます。
 私は10%の負担を、20%の安心と、30%の希望にするために全力を尽くします。
 どうかその負担をお願いします。」


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そうだ!と思わず叫びたくりました。

正面から言いたいことを訴えるお姿に共感いたしております。

米山先生がバッヂを付けられる日を心待ちにしております。

  • Posted by よねやま隆一 東京応援団
  • at 2015/12/14 11:30:44

大手企業、グローバル企業の社長さんや、CEOの方々のとんでもなく高額の報酬は立派な財源ではないでしょうか?いくら、会社の責任を負っているからといえ、あんなに報酬がたかいのはいかがなものかと思う金額を目にすることが多々あります。
あの強欲とも思える報酬をもっと非正規から正規雇用に転換するために使うとか、課税して社会に貢献するために使うとか、通信料を引き下げるとか。一般人への税の強化ばかりでなく、貧富の格差への対応が必要ではないでしょうか。

  • Posted by さくら
  • at 2015/12/16 10:12:49

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