橋下元大阪府知事が、元経産官僚古賀茂明氏の

「森友学園の“特例的な内容”の原点は大阪府だった(https://dot.asahi.com/dot/2018031800012.html)」

という記事に対して、相当な勢いで否定ツイートを連投しています

-------------以下橋下氏のツイート------------
「借地上の校舎を禁じるルールが妥当なのかもっと考えろ。おかしなルールは変えるのが改革だ。 - 3月19日のツイート(http://blogos.com/article/284877/)」。

・完全に事実誤認。もっとしっかり取材しなさい。個人の名前を出したら名誉棄損は確定だよ。大阪府は条件付き認可適当として審議のテーブルに上げただけで最終的な認可はしていない。最後は学園が申請取り下げ。内規に違反していたことは事実。しかしそれは内規の方がおかしかった。 https://twitter.com/kogashigeaki/status/975643418230628352

・借地上に校舎を建てることを禁止した理由は何か?それは財務的に破たんした際にせめて校舎だけは残す趣旨。それなら財務上問題なければ借地上の校舎でも問題ない。だから内規の方がおかしかったので、大阪府は借地上の校舎でも審議のテーブルには乗せる内規変更を行ったらしい。

・森友学園が普通の学校でお金も十分に持っていた場合、この規定でしゃくし定規に申請を却下したら、あなたは新規参入を認めろ!既存の私学の保護だ!と大騒ぎしていたでしょう。事前の却下をできる限り避けて、審査のテーブルに上げてしっかり審査することが既得権打破の黄金則。一から勉強しなさい。

しかし、ほんと古賀茂明も頭が悪いというか、感情先行型。いつも改革、改革、既得権打破!規制緩和!と騒いでいるのに、自分の気に食わない相手には、もっと規制強化しろ!と言う。どっちなんだよ。借地上の校舎を禁じるルールが妥当なのかもっと考えろ。おかしなルールは変えるのが改革だ。ボケ! https://twitter.com/kogashigeaki/status/975643418230628352
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 自分が批判されると、いきなり他人を上から目線で、名誉棄損は確定だの、勉強しろの、頭が悪いの、感情先行だのと罵倒する氏の相変わらずのスタイルには正直辟易としますが、果たして氏が言うほどに、古賀氏は不勉強でしょうか?
 様々な行きがかり上少々興味があって氏のツイートから森友学園瑞穂の國記念小學院の設置認可申請に対する大阪府の対応についてGoogleしてみると、必ずしもそうとも言えない事実がヒットしますし、森友学園の真相解明には与野党上げて賛成ですので、その事実を事実として述べさせていただきたいと思います。

 まず、氏が「内規」としているものは、正確には、「大阪府私立小学校及び中学校の設置認可申請に関する審査基準」と題する文書(審査基準.pdf )( http://www.pref.osaka.lg.jp/joho-kensaku/attach/shinsa-00063_1.pdf)で、この中で「大阪教育庁が、市立小学校及び私立中学校の設置及び収容定員に係る学則の変更の認可を行う場合は、小学校設置基準(平成14年文部科学省令第14号)及び中学校設置基準(平成14年文部科学省令第15号)その他の関係法令等の他、この基準及び手続きにより審査する。」と定められています。

 確かにこの基準は法律でも条例でもなく、基本的には「省令」の地方版位の位置づけで、「内規」と言えなくもありません。しかし正に「省令」が法規範性を有するように、この設置基準も法規範性を有するものと解され、変更は所轄庁(この場合大阪府庁)でできるにせよ、少なくとも事前の告知は必要であろうと考えられますし、当たり前ですが変更後の基準が適用されるのは変更後の案件であり、変更前の案件にさかのぼっての適用はなされるべきことではありません(でなければ、法規範・「基準」としての用を為しません。)。
 実際大阪府教育庁は、平成24年の、「借入金があっても私立小学校を設置できる」ようにする審査基準の変更については、これをパブリックコメントに付したうえで、変更しています(借入金審査基準改正案.pdf )(http://www.pref.osaka.lg.jp/shigaku/pabukome_kekka/index.html)。

 それでは、「借地の上に校舎を建てる場合でも私立小学校を設置できる」様にする審査基準の変更についてはどうでしょうか?橋下氏は「大阪府は借地上の校舎でも審議のテーブルには乗せる内規変更を行ったらしい」とツイートしていますが、事実としては、松井府知事が大阪府私立学校審議会に「瑞穂の國記念小學院の設置」について諮問して「審査のテーブルに上げた」時点において、そのような「内規」すなわち審査基準の変更は、なされていません。
 それどころか、この点について他ならぬ大阪府自身が検証(監査)を行い(検証(監査)報告書.pdf )(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/4033/00263250/29-1-12secchininnka.pdf)、

「学校法人森友園の小設置認可案件において、借地である校舎敷地を自己所有とみなして審査基準に適合するとの判断を行っているが、当時審査基準 の文言に該当するとは直ち読み取れない。また、その経緯も含め意思決定に至る過程ついて文書を作成しいなかっため、事務業の実績を合理的に跡付け、又は検証すること支障が生じた。」
「審査基準等の運用に当たっては、平成平成29年8月10日に改正された大阪府教育委員会行政文書管理規則に基づき意思決定至る文を作成されたい。また、審査基準等の解釈及び運用に係る判断については、十分な根拠に基づいて行われたい。」

との結論を出しているのです。

 さて、この検証(監査)報告書の記載等から、「借地上に小学校を設置する」森友学園瑞穂の國小學院の設置が、一旦とはいえ「条件付き認可適当」という結論に至った過程を、少々長くなりますが時系列で見てみましょう。

○平成23年11月
森友学園の籠池理事長が、大阪府(橋下府知事)に対し、小学校設置の基準の見直し(緩和)を要望

○平成23年11月27日
松井一郎氏が大阪府知事に就任。

○平成24年4月1日
大阪府私立学校審議会に報告・意見を聴取し、パブリックコメントを行った上で、「借入金があっても私立小学校を設置できる」よう、審査基準を変更。

○平成26年10月31日 
森友学園が「小学校認可申請書」を府に提出。
教育庁私学課は、借地(定期借地契約及び売買予約契約が締結される予定)を「自己所有」とみなし、審査基準に適合するとの判断を行う。

○平成26年12月9日
松井府知事が、大阪府私立学校審議会に「瑞穂の國記念小學院の設置」について諮問。

○平成27年1月27日
大阪府私立学校審議会臨時会(http://www.pref.osaka.lg.jp/shigaku/shinngikai/270127rinjikai.html

大阪府私立学校審議会、条件付き認可適当の答申(条件付き認可適当答申.pdf ) (http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/5807/00178564/270127toshin.pdf)。
 条件として、「小学校建設に係る工事請負契約の締結状況、寄付金の受け入れ状況、詳細なカリキュラム及び入学志願者の出願状況等、開校に向けた進捗状況を、次回以降の当審議会定例会において報告する事。」が付される(※土地の取得については条件にない)。

○平成28年4月1日
私立学校に関する事務が「大阪府知事」から「大阪府教育長」に委任される。

○平成28年6月20日
国、森友学園に1億3400万円で土地を売却。10年間分割払い。

○平成29年2月9日
朝日新聞が、森友学園への国有地売却を巡る情報公開請求に対し、国が売却金額を非開示とした決定の取り消しを求める訴訟を報道。

○平成29年3月10日
森友学園、瑞穂の國記念小學院の設置認可申請取り下げ

○平成29年7月27日
大阪府私立学校審議会7月定例会(http://www.pref.osaka.lg.jp/shigaku/shinngikai/shingikai2907.html
以下の私立学校の設置認可に関する審査基準の改正(借地審査基準改正案.pdf )(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/5807/00260636/sinnsakijunn.pdf)について審議会に報告・意見の聴取を行い、賛同を得た。
①虚偽申請への厳格な対応
②申請書記載な様の充実(様式の整備)
③基準内容の見直し(借地上の校舎建築の緩和)
④設置認可の時期 

 この時系列を見るかぎり、平成26年10月31日の時点において、大阪府松井知事は、橋下氏が言うように「大阪府は借地上の校舎でも審議のテーブルには乗せる内規変更」を行うことなく、大阪府自身の検証(監査)によれば「当時審査基準の文言に該当するとは直ち読み取れない」解釈によって借地(定期借地契約及び売買予約契約が締結される予定)を「自己所有」とみなし、かつその解釈が十分な根拠に基づくものか検証することを可能とする文書を作成することなく、大阪府私立学校審議会に「瑞穂の國記念小學院の設置」について諮問してこれを「審査のテーブルに乗せた」と評価されて止むを得ないものと思います。

 尚、氏の言う「内規の変更」がなされたのは、この3年近く後、問題が発覚し、森友学園が設置認可申請取り下げた後の、平成29年7月27日になって変更案が審議会に付されてからのことです。

 上記の時系列の過程においてどのような力学が働き、どの様な意思決定がなされたのか私は全く知りませんし、その是非について論ずる立場にもありません。
 しかし、大変僭越ながら橋下氏には、「他人の失敗は針小棒大に批判してこれでもかという程あげつらい、自らの失敗は潔く認める風で実は実態より小さく見せるいつもの手法は手法として、他人を罵倒してあげつらう時には、感情を先行させる前にせめて5分ぐらいGoogleで事実関係を確認したら如何でしょうか。」とは申し上げたいものだと思います

※追補

氏の直近のツイートによると、
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ほんと現職新潟県知事の米山は頭の悪さは天下一品だね。批判すること先にありきで理屈をこねくり回し、肝心なところは読み飛ばす。古賀茂明と同じ。 僕は大阪府が当初内規(私学審査基準)違反したことは認めている。内規を変えたというのは、まさに平成29年7月のこと。

大阪府は当初内規違反だったが、その内規がおかしかったので内規は後に変えられた。おかしい内規にしゃくし定規に縛られていたら既得権打破などできないが、大阪府はまず内規を変えてから対処すべきだった。しかし内規違反が事実でも、おかしな内規に反したということなので違法性は軽いことも確か。
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との事です。

氏が

「借地上に校舎を建てることを禁止した理由は何か?それは財務的に破たんした際にせめて校舎だけは残す趣旨。それなら財務上問題なければ借地上の校舎でも問題ない。だから内規の方がおかしかったので、大阪府は借地上の校舎でも審議のテーブルには乗せる内規変更を行ったらしい。 」

とツイートとされていたので、てっきり私は、大阪府は、内規がおかしいから多少無理してテーブルには乗せた(諮問した)けれど、おかしい内規(審査基準)の方をすぐ変更したから「違法性は軽い」、という趣旨だと理解していましたが、実は、

大阪府は平成26年12月9日において「借地上に校舎を建てる事を禁止した」「内規(審査基準)の方がおかしい」と考えて、「借地を自己所有と見做して」大阪府私立学校審議会に「瑞穂の國記念小學院の設置」について諮問したけれど、その後当該内規(審査基準)を全く変更することなく放置し、本件がマスコミに取り上げられた後、諮問から2年半以上経過した平成29年7月27日になってから、突如内規を変更したから「違法性は軽い」、というのが氏の趣旨であると思われます。

流石正当化の腕は天下一品と、慎んで訂正させて頂きます。


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コメント

橋下さんのツイートを見てやってきましたが、驚くほどコメントが少ないですね。
もっと頑張って下さい。

  • Posted by 通りすがり
  • at 2018/03/24 22:42:01

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