政権移行のニュースにすっかり隠れてしまっていますが、現在自民党総裁選の街頭演説が行われています。

 完全に引かれ者の小唄ですが、私自身はこの総裁選を「当選していたら、私が立候補していたのに(本気です-苦笑)」と非常に悔しい思いで見ています。そして3候補者の討論については、とても活発なものではありますが、「党内改革」に議論が集中していることに残念な気持ちを感じています。是非ここは、「政権奪回を目指す野党第1党」として、日本の将来ビジョンを示すと共に、民主党マニュフェストへの対案を示して欲しいと、私は思います。

 と言うことで、以下に「私がもし総裁選に出ていたら何というか」を書かせていただこうと思います(当選もしていないのに本当に極めて生意気なことは百も承知なのですが、キャラクターだと思って許して下さい)。

 先ず内政の大きな方向性として私は、「高成長高福祉-高福祉高成長」を掲げたいと思います。民主党が現在「高福祉」を掲げているのは間違いありません。しかし、残念なことに、そこには「成長」の発想も「負担」の発想も極めて乏しいと言わざるを得ません。3年や4年は無駄遣いの削減で持たせることが出来ても、その状態で長期的に「高福祉」を維持することは絶対に出来ません。私ははっきりと「高成長路線」を掲げることで、国民の求める「高福祉」を維持するのだと言いたいと思います。
 そしてその為には、経済政策においては基本的に「小さな政府・民営化」路線を維持すべきものと考えます。「小さな政府・民営化」は近頃非常に否定されていますが、それはこの路線が生んだ負の側面のみを見て、正の側面-バブル崩壊後の不況からの脱却-を忘れてしまっていることによる誤解だと私は考えます。負の側面は「高福祉」でしっかりと手当てするのは当然として、「正の側面」をきちんと生かしていかなければ、日本経済は世界競争の中で生き残っていけません。私はこの点は是非強く訴えたいと思います。具体的には私は、郵政民営化、高速道路民営化は後退させず、脱法行為への対抗策はきちんと取りつつ、更なる経済の自由化を進めていくべきだと考えます。尚高速道路は民営化を維持する以上、料金を下げるにしても「無料」ではなく、500円なり1000円なりを取って「高速」と「維持費」を確保し、不足分は道路脇への広告掲示やSAの売却・開発、そして勿論ファミリー企業との取引の全面見直しで行うべきものと考えます。

 福祉に関しては、「医療・年金・介護・教育・子育て」について国民が不安を持たないですむよう是非手厚い制度を作りたいと思います。しかし現在の日本の財政状況と今後の少子高齢化の進展を考えると、それらには「年収に応じた負担と制限」をつけざるを得ません。低所得層については、子育て支援も、教育無料化も、医療費の援助も行うべきですが、それは、一定の収入以上の層については制限されなければなりません(その制度設計は大変ですが、しかし困難を避けるべきではありません)。又私は、最低保障年金を含む統一的年金制度の創出に私は賛成ですが、それを含めて福祉の財源確保のために、少なくとも消費税を10%に上げなければならないと思います。消費税の逆進性については勿論議論もあるでしょう。しかし、「高所得層には適用が制限される福祉」を維持するのにあまりに累進性の高い所得税を導入するのでは、高所得層は「重い負担だけを課せられて給付を受けられない」事になってしまい、「頑張って働いて所得をあげる意味はあるのか?」と言う問題が生じてしまいます。私は、高所得層が我慢する所得制限の導入によって福祉費用を抑えつつ、その「負担」は低所得層を含めた全階層が消費に応じて分かち合うと言う意味で、消費税を福祉の目的税課することには正当な理由があると考えます。
 又、例え所得制限をつけても、長期的には今後の少子高齢化に伴って福祉費用は絶対に不足します。私は是非「社会保障番号制度」を導入し、所得をきちんと補足すると共に「医療・年金・介護・教育・子育て」を一元的に管理することで、無駄のない福祉給付を実現したいと思います。

 「福祉の給付」を制限することは現在の風潮ではそれだけで非難を呼びかねません。しかし、福祉費用の無制限の拡大を放置しては、経済の成長が妨げられ、福祉に必要なお金を得ることが出来なくなってしまい、「高福祉」は実現できません。私は、「高福祉」を実現するためにこそ、「高成長」を実現したいと思いますし、自由化による「高成長」を実現するためには、そのセーフティネットとして、絶対に「高福祉」が必要だと思います。「福祉」と「成長」は車の両輪であって、両方が同じ大きさで同じペースで進まなければ車-国は前に進めないのだと言うことを、私は強く申し上げたいと思います。

 外交に関して私は、勿論中国を初めとするアジア諸国と良い関係を築きたいとは思いますが、基本的には日米同盟を主軸とした外交戦略を展開すべきだと思っています。これは決して対米追随ではありません。アメリカと日本は、違いは勿論多々ありますが、客観的に見て経済の状況も社会の状況も、極めて似通った国です。これに対して中国を初めアジアの国々は成長著しいとはいえ未だ発展途上であり、基本的には日本とは異なった経済・社会の状態にあります。知的所有権の問題一つとっても、利害が一致するのは日本とアメリカで、日本と中国・アジア諸国は鋭く対立する関係にあります。そんな状況下で、「中国とアメリカに対して等距離を保つ」のは、私には「現状を無視した理想論」にしか見えません。「世界で最も進んだ国の一つ日本」の国益を守るために「もう一つの世界で最も進んだ国アメリカ」と手を組むのは、私は理の必然だと思います。アメリカと緊密な関係を保ちつつ、アジアのリーダーとして中国アジアとの関係を発展させる、私はそう言う外交方針をとりたいと思います。
 具体的には、インド洋給油、ソマリア沖海賊対処は、「アジア・世界のリーダー国」の義務として継続します。核に関する日米密約は歴史的検証を行いその結果を公開しますが、その上で国民の皆さんには「米軍による核の持ち込み」を許容していただきたいと思います。「核の持ち込み」を否定することは簡単です。しかし中国・北朝鮮が核兵器を保有している今、それは日本の防衛を危うくし、むしろ極東における核軍縮を困難にします。米軍による核持ち込みを許容した上で、その抑止力を十二分に使って中国・北朝鮮との核軍縮交渉に取り組むのが私は現実的な方策だと考えます。

 以上、内政・外交の基本的な方向を実現するために、報告が大変遅くなってしまいましたが、私は是非今後の参議院選挙、衆議院選挙に再起をかけて挑みたいと思います(勿論相手のあることなので、自民党さん次第ではあります。又、そこが上手くいっても、総裁選にたどり着き、政権を奪還して、総理大臣自なるのは、勿論気の遠くなるほど長い長い道のりです-苦笑)。今後ともご声援、どうぞ宜しくお願いいたします。


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コメント

再起をご決断したのですね!
支持させて頂きます!

  • Posted by よびじ
  • at 2009/09/22 21:41:38

ご決断を尊重いたします。

米山先生の今の立場は「国家試験を間近に控えた医学部の6年生」みたいなものだと思うのです。いろいろ勉強して、あとは資格を取ればプロとして経験を積んで成長していけるというところが・・・。いろいろ大変なことは山ほどあると思いますが、ぜひ粘り抜いて国会に議席を得ていただきたくことを願っております。

まだ当選経験がなくとも、政治の道を志す方にとって自分の考えを明確にすることは大事だと思いますので、生意気でもなんでもないと思います。私たちにとっても判断材料となりますし。ちなみに中曽根康弘先生もまだ大学生のときすでに「自分は将来首相になったらこれをやる」ということをノートにびっしり書き溜めていたそうですから。

また政治家というのは生き様によっても人々を大きく感化しうる職業です。その面でも大きく期待しております。

頑張ってください!!


  • Posted by 新潟港で魚釣り
  • at 2009/09/22 22:26:31

>今後の参議院選挙、衆議院選挙に再起をかけて頑張りたいと思います。

この言葉に大きな拍手を送りたいと思います。
稚拙な言葉で恐縮ですが、なんだか嬉しくなったというのが正直な気持ちです。

当方は選挙区外につき米山先生に直接投票はできませんが、選挙区民の方々(ひいては国民の方々)が先生を理解して応援してくれる日も近いに違いないと思っています。

まずは国政に出ること。
そのために、まずは選挙区民の方に今まで以上のpolitical literacyを持っていただくためにも「難しいことをわかりやすく」伝えることが大事なのではと個人的には思います。

先生とは立場も資格も違いますが、これは同じ「先生」稼業として最も大事なことなのではと考えています。(若輩につき生意気を申し上げて申し訳ありません。)

この日記を読むたびに、先生からは毎回大きなパワーをもらっています。いろいろと大変かとは思いますが、頑張ってください!!

  • Posted by ぶるみ
  • at 2009/09/23 00:21:22

>3年や4年は無駄遣いの削減で持たせることが出来ても、

民主党のマニフェストでは25年度に16.8兆円。
無理。
そもそも来年度の7.1兆円すら捻出不可能。
そんな莫大な無駄遣いは存在しないと考えます。


>(恐らく経済の高成長の為に)「小さな政府・民営化」路線を維持すべきものと考えます。

夢物語。
この十年で何も学んでいない。
今の日本に必要、かつ最も適切な行いは国債の発行と、形を問わない公共投資。
どうしても改革したいのなら国内を好景気に導いてから行えばよい。
第一、経済の成長と政府の支出額の大きさは全く関係が無い。


>「小さな政府・民営化」は近頃非常に否定されていますが、それはこの路線が生んだ負の側面のみを見て、正の側面-バブル崩壊後の不況からの脱却-を忘れてしまっていることによる誤解

日本は不況脱却したのにデフレ。
日本の企業は不況を脱却したのに積極的な設備投資を行わない。

そんな馬鹿な。

残念だが新自由主義者たちが声高に主張した金融緩和や規制緩和などでは日本は不況から逃れられない。
それは、世界平均を大幅に下回った日本のGDP成長率を見れば、火を見るよりも明らかだ。


それと、脱法行為とは具体的に何を指しますか?


長くなったので、この辺りで一旦切り上げます。

  • Posted by 積極財政派
  • at 2009/09/23 01:59:39

落選1回ならまだしも、衆議員で2回も落ちて、仮に参議員で通っても(何とか自民公認取るよう根回ししてるようですが)、そんな奴は総理の器じゃないよ。どれほど立派な能書きをくどくど垂れてみても。

  • Posted by 現実は事実也
  • at 2009/09/23 08:42:32

今までは「我が自民党」とのたまっていたのが、野党になると「自民党さん」ですか・・・流石に変わり身が早いね、田中眞紀子の後継で民主からも出馬しかねない勢いですな。

  • Posted by 現実は事実也
  • at 2009/09/23 13:25:13

  民主党から立候補することが田中真紀子さんの後継ということになるのだろうか。
 むしろ自民党から立候補して当選するほうがその真意に報いることになるような気がする。
 やはり民主党に入ったのは苦汁の選択なのではないんでしょうか。

  • Posted by 長岡
  • at 2009/09/23 21:22:53

>今の日本に必要、かつ最も適切な行いは国債の発行と、形を問わない公共投資。

まだこれ言う人沢山いるんですかね?返済計画無き借金は勘弁して欲しいなぁ~

  • Posted by 未来の世代
  • at 2009/09/24 09:17:26

米山先生の再起の決断を支持します!

  • Posted by 国民
  • at 2009/09/24 09:18:17

多くのコメント有り難うございました。レスポンスが長くなりましたので、次の記事に記載しております。ご参照下さい。

  • Posted by 米山 隆一
  • at 2009/09/24 11:43:37

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