挨拶全文

  • 米山 隆一
  • at 2008/1/03 02:27:51

 12月26日に行いました忘年会で行ったご挨拶の全文をアップします。年末の話を年が改まった後にするのは恐縮なのですが、一応「これからの政治姿勢」という意味でご一読いただければ幸いです。

====以下全文========

 皆さん今晩は。本日は暮れのお忙しい中、そして寒い中、こうしてかくも大勢の皆様にお集まりいただきまして、大変有り難うございました。心より御礼申し上げます。

 そしてまた本年は選挙の年でございました。県議会議員選挙、市議会議員選挙、参議院議員選挙、そしてそれに続く市議会議員補選、市長選挙で、星野先生、ご列席の市議会の諸先生、佐藤先生、塚田先生、森市長と、自民党は負けなしの結果を残させていただきました。それもひとえにここにいらっしゃる皆様のおかげです。心より感謝申し上げます。

 さて、そうして新潟県、こと中越地区では自民党は勝たせていただいたのですが、参議院選、ご承知の通り全国的には大敗でした。その為国会はねじれ、9月10日に開催されて既に3ヶ月以上が経過しているにもかかわらず、被災者生活再建支援法と労働2法案の二つの法案しか通っていません。

 そしてこれだけなら「仕方ない」ですむかもしれないのですが、それに加えて「これでもか」というほど問題が出ております。防衛省の不祥事を筆頭に、かねてからの公約であったと思われる年金の名寄せが不可能であることが判明し、薬害肝炎問題にやっと解決のめどが立ったと思ったら独立行政法人改革は中途半端なまま終了する、そして中央と地方の格差の解消にはいつまでたっても道筋がつかない、自民党を支持してくださっている方々でも、「しっかりしろ」といいたくなるのが正直なところだと思います。

 私は自民党はそういったことを、まずしっかりと反省しなければならないと思います。ただその上で、今日は一つ、皆さんに伝えたいことがあります。それは、「そういった個別の問題は、もちろんとても重要です。しかしその背景には、とてもとても重要な共通の問題が隠れていて、それを直視しなければならない」ということです。それがこれです。

 演説でグラフなんて無粋ですよね。でも、是非よくごらんになってください。よく見えるために、グラフをクローズアップしましょう。

青、赤、黄色、それぞれは、1990年を100とした時のGDP、歳出、そして社会保障給付費です。1990年のバブル崩壊以降、青のGDPはほぼ横ばいなのにもかかわらず、黄色の社会保障給付費はそれまでとほとんど同じペースで増大しています。赤の歳出は何とか抑えようとしていますが、それでもGDPの伸びを上回っていて、これが国債の残高を積み上げさせています。このギャップこそが、今国をさいなんでいる最大のもので、これを放置する限り、実のところ民主党がやろうが自民党がやろうが、ひたすら財政赤字はつもり、それ故に肝炎対策をするにせよ、地域対策をするにせよ、農業対策をするにせよお金がなくて中途半端な対策しか打てないと言う状況は変わりません。

 でも皆さん、私は、決して絶望的なことをいいたいのではありません。この状況を救うものがあると思うからこそ、こんな無粋な話をしています。それは何か。そうそれは、これ、志です。

 皆さん、もう一度先ほどのグラフを見てください。

私たちはこの、平らになってしまった青い線を、どうにもならないと思ってしまっていないでしょうか。そうでなくても、日本はもう成長し終わったのだから、今のままでよいのだと、考えてしまっていないでしょうか。

 私はそうではないと思います。田中先生の初出馬はグラフにもない1946年です。列島改造論は1972年です。そのとき、誰がこの長期の成長を予想したでしょうか。この雪国に小説パイプの道路ができ、出稼ぎに行かなくてよい生活ができるようになると、誰が予想したでしょうか?そんなことを考えた人は、おそらく誰もいなかったか、いてもとても少数だったでしょう。でもそれは、現実になりました。それはもちろん田中先生という偉大な政治家が、国家の成長戦略というグランドデザインを描いたこともあるでしょう。でもそれ以上に、今まさにここにご列席の皆様が、「明日は今日よりよくなる、よくできる」と信じて、額に汗して、手に豆を作って、足を棒にして働いてきた成果だと、私は思います。皆さんの志が、この日本を作ったんです。その志を持ってすれば、「明日は今日よりもよくできる」という信念を持ってすれば、日本人は優秀です、私は、この青い線を再びあげること、希望ある未来を作ることは、私は可能だと思います。

 皆さん、頻発する官僚の不祥事のニュースを聞いて、これはもうどうにもならない、あきらめるしかないと、思っているかもしれません。確かに。今の官僚制度には根本的な欠陥があります。まず、国家公務員法による官僚の身分保障は、原則として新人から次官まで、すべての官僚に及びます。あの守屋前次官と小池前国防相のバトルの時、奇異な印象を受けた方も多いでしょう。「何故任命権者が首といっているのに、首にならないのだろう?」と。結局あの問題は、守屋前次官が官邸の説得に応じて辞表を書くことで収拾しましたが、逆に言うと官僚は、いったん任命されると、自ら辞表を書かない限りやめさせることはできないんです。これでは、政治による官僚のコントロールが働くはずもありません。また、薬害肝炎問題においても、厚生省の情報隠しにイライラした方も多いでしょう。何故「大臣が出せといったら出てこないのか?」と。でも皆さん、今の官僚制度では、すべての情報は官僚が握っています。大臣はどこにどの情報があるのか、たとえば肝炎患者さんのリストがどこにあるのかは、官僚に聞かない限りわかりません。彼らは隠そうと思えば情報を隠し続けることがかのうです。これではやはり、政治によるコントロールは難しいでしょう。
 でもそれらのことは、実は誰もがわかる解決法があります。

国家公務員法を改正して、大臣が自らの最良で局長級以上の官僚の首を切れるようにし、行政情報は一般の人、情報のレベルによっては国会議員が必ずアクセスできる状態におかなければならないとする行政情報管理法を制定すれば、解決します。そしてそれに加えて問題となっている天下りを規制して実は行政機構は相当程度にきちんと管理ができるようになって、青い線をあげるなくても、無駄を省いて赤い線をさげ、国家の赤字を減らすことができるようになります。
 それはもちろん今まで慣れ親しんできた行政のあり方から大きく変わりますから、それ相応の覚悟が必要です。でもその覚悟があれば、どんな困難があろうが新しい国家にふさわしい仕組みを作るのだという高度成長時代の日本の情熱があれば、それは可能です。そう、それは志の問題なんです。

 皆さん、この長岡に住んでいて、中央と地方の格差の問題は、非常に切実だと思います。地域経済はこれ以上よくならないと思っている方も、おられるかもしれません。でも、私はこの問題にも解決法はあるし、また解決しなければならない問題だと考えています。先程来お話ししているとおり、日本は1990年代以降、非常にゆっくりした成長しかしていません。しかし報道等でご存じの通り、実は都会-東京では、結構な好景気に沸いています。その帰結は何か。結局都会だけが豊かになっても日本全体は豊かにできないということです。日本全体が豊かになる為には、この地方が豊かにならなければなりません。

 そのための方策はたくさんあるでしょう。私がすべて思いつくともおもえません。でも、とりあえずいくつかはあげられます。

まずせっかくできあがった高速道路と新幹線を筆頭とする高速交通網を、安く、便利に利用できる仕組みを作り上げれば長岡は首都圏にも、また日本海にもぐっと近くなります。それに併せて現在はやりの高速交通網を整備すれば、情報の面でも年との距離は縮まります。それは地方の不利さをぐっと減らします。

 そこに、例えば、私がかねてから提案している「地方投資特別減税」-地方に新たに進出した企業に法人税を大幅に減額し、また既存の企業でも地方で新たな投資をしたら大幅な減価償却を認める制度-を始め、地方で企業活動を行いやすくする税・法体系を整備したら、海外に逃げてしまった企業を地方に呼び戻すとともに、現場でがんばっている地方企業を支援することができます。それは長岡にとってだけでなく、日本のためにもなるでしょう。また現在は率直に言って東京に偏っている研究開発拠点を地方に移すことで、地方での新しい技術の開発・利用が容易になります。それは、研究コストの低下と言う日本全体への利益ももたらします。
ここでも、問題は「今までのやり方にとらわれず、新しい地方制度を作り上げる」という志の問題だと、私は思います。

 時間の問題があるので詳述しませんが、年金や医療や教育も、同じだと、私は思います。

 そしてこういった課題をに取り組んでいくことで、私は私たちの生活はもっとよくできるし、よくならなければいけないと思っています。私たちは確かに豊かになりました。もう物質的豊かさは十分でこれからは心の豊かさを求めるべきだと、思われる方も多いでしょう。それはまさに、その通りなのだと思います。でもあえていわせていただけるなら、その「心の豊かさを求めること」こそ、真の努力を要するのだと、その努力こそが私たちに奇跡的な成長をもたらしてきたのだ、そして裏を返せば、今私たちが本当に失っているのは、「心の豊かさ、生活の豊かさ」を真剣に求める気持ちなのだと、私は思います。

 私が子供の頃、父は出稼ぎに行っていました。正直子供の私にとって父のいない寂しさはよくわかりませんでしたが、おみやげをいっぱい抱えた父がうれしそうに帰ってくるのは、本当に楽しみでした。この時父が求めていたのは、別段おみやげでもお金でもなくて、家族の笑顔だったろうと、私は思います。でもその父の努力、皆様の努力が、今の日本を作りました。
自分でいうのはちょっと照れくさいのですが、私が小さい頃、母はとても華奢でかわいいと言っていい女性でした。でもその母は、私の学生時代を通じて、ほとんど24時間寝る間を惜しんで働き続け、いまやすっかり腰が曲がり、手は節くれました。そのおかげで私は湯ノ谷の田舎からこの長岡の中学校に通い、あろう事か灘校、東大と進学することができました。そのとき母が求めていたのは、お金でも学問でもなくて、私に思い通りにやらせてあげたいという一心だったろうと思います。でも私の母に限らない、たくさんの母親の子供の教育にかける真剣な気持ちが、今の日本を作ったのだと、私は思います。

 これから、真剣に心の豊かさを求めるなら、次世代の子供たちに豊かな未来を次がせたいなら、私たちは、かつての父と母の努力をしなければならない、この日本の現状と向き合わなければならないと、私は思います。どんなに抵抗があっても、官僚制度を変えて、二度と悲しい薬害が起こらないようにしなければなりません。行政機構の無駄を省いて、本当に助けを必要としているところに、お金が回るようにしなければなりません。地域経済を活性化をつうじた日本全体の経済の活性化で、誰もが働いて生活できる社会を作らなければなりません。誰もが安心して暮らせる、新しい医療福祉制度と年金制度をを、作らなければなりません。次の世代の子供たちが世界中で胸を張って生きられる、新しい教育制度を作らなければなりません。

 それはもちろん、言うは安く行うは難いことです。それでも私は、それはできると、思います。現に私たち日本人は戦後40年間であの驚異の成長を遂げたんですから、不屈の志を持って当たればそれは必ず可能だと、私は信じます。そしてその実現の一助となるために、報道ではいろいろ言われてはおりますが、長島先生と、この私、皆さんのお力でそろって国会に送っていただきたいと、心よりお願い申し上げます。
 
 最後になりますが、長岡市の丘陵公園に日本の未来を示すグラフを重ねたスライドを背景に、ご列席の皆様方のますますのご発展とご繁栄、そして新年が希望に満ちた輝かしいものになりますことをご祈念して、挨拶とさせていただきます。どうも有り難うございました。


 


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