フランスで悲惨なテロが発生しました。メディアがその悲惨な様子を伝え、世界の世論は全体として、テロ撲滅に燃え上がっています。

 勿論テロは、一片の弁解の余地もない、許されざることです。ISの勢力をそぐための軍事オプションが必要であれば、それを躊躇すべきで状況ではないでしょう。そこに異論は、ありません。
 しかし、です。軍事的手段を行使さえすればこの状況を解決できると考えるのはあまりに安易で、あまりに危険で、あまりに効果が薄いと、私は思います。
 先進国が束になってかかれば、ISの支配地域からISを一掃することは、おそらく可能でしょう。しかし、どれほど圧勝の戦闘でも、相手の戦闘員を100%殲滅することなどできません。むしろ圧勝であればあるほど、相手の戦闘員は早期に逃亡し、陸伝いに国境を抜けて、世界各国に広がってしまいます。そして世界に広がった彼らは、逃亡先の世界各国で、それこそやけっぱちで、自爆テロを引き起こすでしょう。それは私達が望む未来ではないはずです。
 そもそも現下の状況自体、9.11を受けて高らかにテロとの戦争を掲げてアフガンに攻めこみ、サダムフセインを悪の枢軸と名指ししてイラク戦争を起こし、武力によってテロを封じ込めようとしてことごとく失敗してきた結果です。ここでまたも安易にシリアに攻めこみ、IS掃討作戦を展開したところで、全く同じ泥沼に陥る確率の方が遥かに高いように思われます。

 ではどうしたらいいか、その答えは簡単には見つかりません。しかし、それならば、原点に戻って、「何故テロが発生するのか」を考えるべきだと思います。ISの戦闘員が、話の通じない、血に飢えたクレージーな相手だと断じるのは簡単です。しかし、彼らだって、血の通った人間です。彼らのおかれている立場への悲憤、殺された自らの肉親たちの復讐、そしてテロリズム以外では彼らの未来を切り開けないという絶望が、その動機となっていると、考えることは可能です。
 そうであるなら、世界が、中東和平を含んだ中東の包括的外交プロセスを示して彼らがまっとうな国家・国民として存立しうる場所を用意し、特に軍事オプションを行使する場合には、偽善といわれようが何といわれようが可能な限りの人道的支援をセットにして戦場での悲惨な生、悲惨な死を可能な限り減少させ、そして何より、テロリズムを放棄し、まっとうな努力をすれば、自らの力で、豊かな生活を手に入れることができるのだという希望を彼らに与えることが、この問題を解決するために必要なことだと私は思います。いかに困難で、いかに忍耐を要しても、世界はその努力を惜しむべきではありません。

 世界がテロリズムの恐怖に震撼し、力を合わせて立ち上がろうとしている今だからこそ、片手に武力を持ちながら、もう一つの手に中東和平を含む包括的外交努力を持ち、更にもう一つ手を増やしてその手で可能な限りの人道支援を行い、そして、そのすべての手を使って、彼らが、自らの手で幸福な生活を手に入れることができる希望を作る努力を惜しまない冷静さを、世界は持つべきだと、私は私の立場で、声を大にして訴えたいと思います。


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