活動報告

 さる5月3日の憲法記念日には、時世も相まって「改憲は是か否か」「解釈改憲は許されるか否か」の議論が多数なされました。

 まずもって私は、憲法9条については改憲派、集団的自衛権についての解釈変更も容認派です。

 しかしそれを前提になお、「真正保守」を声高に叫ぶ方々の、「現行憲法の否定」「戦後社会の否定」と「戦前回帰」には驚きを覚えます。

 そもそもですが、「保守」とは、「現在の良いところは良いところとして維持しつつ、変更すべきところは順次変更していくこと。」で、「革新」とは、「現在の良いところをある種無視して、急激な改革を志向すること。」であろうと思います。

 そして、我々にとって「現在」とは当然この「戦後の社会」のことであり、どう考えても「戦前の社会」ではありません。
 「真正保守」を標榜されるなら、まずもって、現在のこの「現行憲法の下で、自由と平等が保障され、世界有数の豊かさがもたらされた戦後社会」の良い点をきちんと認識したうえで、変えるべきことを変えるのが筋であると思います。

 現行憲法の破棄、教育勅語の復活等々の、現状からはるかに乖離した戦前秩序への回帰は、実は「現在の良いところを無視して、突如急激な変革を志向する」点で極めて「革新的」「急進的」と言ってよく、私はこれを「真正保守」でもなんでもない「革新的復古主義」と命名したいと思います。

 この「真正保守」を掲げる「革新的復古主義」の方々は、戦前戦中の日本の歴史を礼賛することに極めて熱心です。私も、明治維新に続く日本の発展を、誇らしく思うことでは人後に落ちません。しかし同時に、当時の日本は軍事力こそ世界第3位でしたがGDPは8位にすぎませんでした。国民の権利、自由の保証は十分でなく、官憲の規制は極めて厳しいものがありました。科学技術のレベルに至っては、欧米に大差をつけられ、比較すら難しいというものでした。戦前の社会にも「良い部分」は勿論ありましたが、総体としてそれは国民の様々な犠牲の上に成り立っていたものであり、戦後の社会の方が、遥かに「豊かで、自由で、幸福である」ことは、議論の余地がないことだと思います。
 「真正保守」を唱う方が、今目の前にある戦後社会の良い点に目を向けないのは、「保守の名折れ」と言っても過言でないと、私は思います。

 振り返って、日本の歴史の中で、戦後の60年ほど、急激に、かつ世界に誇る輝く成長を成し遂げた時期はありません。しかもこの成長は、戦前のように、国民生活や国民の権利と自由の犠牲の上に成り立ったものではなく、国家としての成長と同時に、国民の生活レベルも、権利も、自由も、向上しました。この時期をこそ、他のどの時期にも比して、私たち日本人は誇るべきだと、私は思います。
 そしてその戦後秩序の根幹となった現行憲法は、その成立の経緯がどうであれ、日本と国民に多大な恩恵をもたらしたことは歴史的事実として間違いがありません。時代に合わない部分の修正は当然として、その「楽天的明るさに満ちた平和主義」と「極めて崇高に、自由と平等と人権を希求する理想主義」は、真正保守であればこそ、「現在の社会の護るべき美点」として維持されるべきものだと、私は思います。

 「革新的復古主義」の方々は、「日本の歴史に誇りを持てなければ、日本人の誇りを持てない」と声高に主張されます。それはそれで正しいことだと思います。
 しかし、歴史以前に「現代の日本社会に誇りを持てなければ、現代の日本人の誇りを持てない。」「自らが育った戦後社会に誇りを持てなければ、自らに誇りを持てない。」はもっと当然でもっと正しいことでしょう。
 私たち日本人は、ほかならぬこの戦後社会を生き、豊かで自由で幸福な戦後の社会を築いた自らをこそ、まず誇るべきなのです。
 

 私は「真正保守」として、自由と平等を高らかに掲げ、国民の生活の向上を達成した戦後社会の秩序を心から誇りに思い、その基盤となった現行憲法の崇高な理想を護り、そして改めるべきは改めて、より豊かで、より自由で、より幸福な社会を作りたいと、思います。


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