外交と言う名のワールドカップ

  • 米山 隆一
  • at 2006/7/13 22:58:58

北朝鮮のミサイルに関して、国連安全保障理事会での議論が、佳境を迎えています。日本は国連憲章第7章に基づく制裁決議案を提出していますが、この他にイギリス、フランスの2段階妥協案、中国、ロシアの制裁を抜いた決議案等、様々な妥協案が出されています。10日の段階で私は、「採決」→「不採択」→「妥協」となると思っていましたが、今の情勢では、おそらく「採決」を行なわず「妥協」となるでしょう。例えそうなったとしても、今回の日本の対応は、全体として悪くないと私は思っています。

 

今回日本は、ご存知のとおり、アメリカと共同して、いち早く、非常に強硬な北朝鮮制裁決議案を出しました。これに対して中国、ロシア、韓国は「やりすぎである」「北朝鮮を刺激する」と批判しています。しかし、交渉と言うのはそういうもので、最初から無難な落としどころを提示したら、非難はされないでしょうが、そこに反対派からあれこれと文句がついて、実現するのはほとんど実効性のない結果になってしまいます。非難されるのを覚悟の上で、勇気を持ってある程度極端な意見を提示して、しばらくは喧々諤々の議論をして、そして最後の最後に相手に花を持たせる形で折れるふりをして、やっと望ましい結果が得られるのではないでしょうか。今までの日本外交は、この「言いだしっぺ」の「嫌われ役」を出来ずに、存在感を発揮できなかったように思いますが、今回は何はともあれ自らの主張を明示し、日本よりの妥協を引き出しつつあるだけで、大きな進歩だと思います(本来そんなことを言っていてはいけないのでしょうが)。

 

日本は後しばらく強硬な制裁決議案を維持しつつ交渉を重ね、最後に中国・ロシアに花を持たせる形で制裁に含みを持たせた非難決議案を採択させ、その後北朝鮮が少しでもおかしな動きをしたら即座に制裁に持っていくのが、もっとも現実的で、且つ日本の国益にかなう方法であるように思います。其のためには、きちんと情報を収集して、反対派の中国やロシアが、実際どの文言なら落とせると思っているかを探って、賛成派のアメリカと最終的な落としどころをよく確認して一枚岩を保ち、中間派のイギリス、フランスに、それとなく「日本も交渉を壊すつもりはないのだ」ということを匂わせて、味方につけ続けることが大事になるのでしょう。そういった意味で今まさに、ワールドカップのような外交戦が展開されているのであり、日本の外交力の真価が問われているのだと思います。

 

最終的な結論がどうなるのかは、現時点ではおそらく誰も分からないでしょう。しかしどうなるにせよ、その結果が少しでも日本の国益にかなう形になることを、心より祈ります。


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