活動報告

政策論争 ~医師確保~

  • 米山 隆一
  • at 2016/10/13 00:59:15

  先般新潟日報の選挙情勢の記事にもありましたが、県民が県政に求める第一の課題は、実は医療・介護の福祉政策です。
 私も自ら医師として医療の現場に携わってきたものとして、是非医療・介護・福祉の分野に大きな力を注ぎたいと思っています。
 医療・介護・福祉の分野は医療の供給側(病院等の運営等)から、医療の需要側(医療費助成等)まで非常に幅広く、すべてを論じると結局箇条書きの政策集の様になってしまいますので、この記事では、医師確保に限定して述べたいと思います。

 タイトルに「政策論争」とは書きましたが、医療・介護・福祉に関しては、誰に語らせても「しっかりやる」と答えるのはほぼ必然であり、私はむしろこの分野は、政策として掲げる題目よりもその実施方法であると思っています。

 地方の医療供給における非常に大きな課題が、医師の確保であることは論を待ちません。少々がっかりさせてしまうかもしれないのですが、地方の医師不足は、現在の国の医療制度と経済社会の東京一極集中という構造的な問題が背景にあり、これを一朝一夕に解決する手段は、私にも、そして恐らく他のどの候補にもありません。
 では打つ手がないかというとそうではなく、私は最大の対策は、非常に地味ですが、第一に、医療の現場の職場環境の改善・整備であると思っています。地方における勤務医・看護師他の医療スタッフの勤務環境は多少改善されたとはいえ、今なお過酷です。スタッフ不足に起因する部分については鶏が先か卵が先かになってしまいますが、事務的なサポートの充足、患者さんとの関係や、地域の開業医との協力体制の構築、さらに大きくは地域医療計画の策定の中で医療提供体制を合理的に整備し、県民に提供する医療の質を下げることなく、その負担を軽減することは十分可能だと思います。
 又、地方での臨床経験が必ずしも現在の医師のスタンダードなキャリアップにつながらないことも地方の医師不足の要因の一つとなっていると思われますので、ここは医師としての経験・人脈を生かして、各大学医学部の方々との協力関係を築いて、大学における医師教育の一環として組み込める体制を、作っていきたいと思います。
 つまり、地方の医師確保の第一歩は、非常に地味ではありますが、県が運営に関わる医療機関での現場の環境を丁寧に整備して、医療スタッフにとって働きやすい環境を作っていくことであり(これは同時に患者さんにとっても気持ちよく医療を受けられると思います)、これによって「新潟の医療機関は、職場環境的にもキャリア的にも働きやすいぞ。」と医師、看護師他の医療スタッフ、そして大学医学部関係者に評価してもらうことで、医師、看護師他の医療スタッフの確保及び定着を図ることであると思います。

 これだけだと少々実務的過ぎて夢が無いのですが、私は「医療ビッグデータ」の活用が夢のある大きな話となると考えています。
 今国は、医療情報を匿名化して利用できるようにする法整備を進めています。ところでではその医療データはどこにあるかとなりますが、平成30年度から国民健康保険の運営主体は県になり、県には、大量のレセプトデータが蓄積されることになります。又、現在国は「DPCデータ」という医療情報を特定の病院に提出させているのですが、このDPCデータに県としてアクセスすることは可能でしょう。更には、県立病院、県が運営に関わる病院を中心に、地域の病院のカルテそのものの情報を統合していくことも考えられます。
 少々マニアックな話になって恐縮なのですが、医療に携わったことのあるものには、これはものすごく大きな財産であり、かつ現在ある様々な問題を解くカギになりうることがお分かりになると思います。
 つまり県として県内の医療機関の医療ビッグデータの集積、利用、分析の道筋をつけることで、(1)これを利用して県民の健康増進の方策を探し得る(2)これを利用して、医療費の効率的運用方法を探し得る。(3)医療ビッグデータの利用を医師に開放することで、新潟県が医師のキャリアにとって魅力的な場所になりうる。(4)医療ビッグデータの利用を民間に開放することで、新たなビジネスの創出が期待できる。と、私は思います。

 本記事は少々マニアックになってしまいましたが、医師確保という本件の最重要課題に対して、(1)地味でしかし現実的で着実な手法(2)斬新で夢のある手法の両方からアプローチして、一朝一夕とは言わないまでも、是非一定の期間内に一定の改善を得たいと思います(歯切れが悪いですが、実際の行政というのはそういうものだと思います。)。

 残りあと3日、全力で頑張ります!


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コメント

現在の医療制度の枠内で、医師の確保や医療の質的向上や県民の健康増進を図ろうとするなら、たぶん米山さんが示された方策が正しいのだろうと思います。

「医は仁術ではなく医は算術」と言われて久しいのですが、これは金儲けにいそしむ一部の医者や病院を揶揄したものです。ですが、この言葉は現代医療制度の構造的欠陥を指しているとも捉えられます。

それは、製薬企業と医療機器製造企業と医学学会などが「医療マフィア」を形成し、末端の医師や患者を食い物にしている構造です。この構造を支えているのは、仁術ではなく算術、すなわちお金です。

現代医学と現代医療の限界が見え始めた今こそ、このような構造をいかに変革するかを考えるべきかと思います。医師としてこのようなことも頭の隅に置いて頂ければ幸いです。

  • Posted by 新潟県民C
  • at 2016/10/13 09:44:56

長岡の病院でがんの手術を受けましたが、日程が直前まで決まらず、医師不足なのだと痛感しました。担当医が非常に多忙であることもよくわかりました。また、数年前、全国版の新聞で、簡単な手術と紹介されていた水頭症が、県内では、なかなかやってくれるところが見つからず苦労いたしました。手術があまりに先になりそうだったので、県外の病院へとも思いましたが、その後の通院を考えてやめた次第です。

県内の医療現場が改善されることを期待します。これは教育も同様と思います。
道路や建物より人づくりを!

  • Posted by 長岡人
  • at 2016/10/13 23:43:40

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