ニュースの感想

民主改憲論 ~参議院選挙を受けて~

  • 米山 隆一
  • at 2016/7/12 02:18:39

 参議院選挙が終わりました。我が新潟では野党統一候補が勝利しましたが、日本全体では、自民党が55議席を獲得、改選前議席と合わせて自公が145議席を獲得、おおさか維新12議席、にほんの心3議席と合わせて160議席、これに改憲に賛成の無所属4人を含めると164議席で憲法改正の発議に必要な162議席を超えました。
 選挙中改憲の議論を封印していた安倍首相は、早速改憲への意欲をにじませています。

 さて、この状況で、我々民進党は、野党はどうすべきでしょうか?色々な意見があるでしょうし、もしかしておしかりをうけるかもしれないことを承知であえて書きますが、私は、憲法改正の議論に積極的に参加し、独自の改憲案を提示すべきと思います。それも民進党単独ではなく、民進、共産、社民、生活の4党共同で。

 落ちても落ちても(苦笑)選挙をしてきたものとして、私は選挙の結果が民意とイコールだとは思っていません。選挙の当落は、候補者がハンサムかどうかどころか、時にポスターの写真写りにさえ左右されます。現実として選挙は政策以外の様々な因子に左右されるものであり、選挙で勝った候補が掲げる政策と、国民が支持する政策は時に乖離します。しかし、それでも選挙で勝った候補が掲げる政策を実行するのが民主主義というものであり、その意味で選挙は、「民意」そのものではなく、民意を可能な限り反映するための「ルール」であると、私は思っています。

 そしてそうである以上、例え選挙中改憲を争点から外したにしても、選挙で勝った安倍政権が改憲の議論を進めることを、否定することはできません。それを否定したところで、事態は民主主義のルールに従って、淡々と進んでいくだけです。
 そうであるならば私は、むしろ、その土俵に乗り、正々堂々、自民党憲法草案とはっきりとした対象をなす、現行憲法を土台にした、より自由で、より民主的で、より平和的で、より個人の尊厳を尊重した「民主改憲案」を、4野党共同で提出すべきだと思います。
 勿論自公が多数を占める憲法審査会において、「民主改憲案」は採決すらされずに廃案となり、復古主義的自民党憲法草案をベースにした自民党改憲案が可決され、衆参の2/3の同意を経へて発議されるでしょう。しかしその時こそ野党は、「民主改憲案」を高らかに掲げ、堂々と反対に回ればよいのです。そして、その後の大一番、国民投票において、再び「民主改憲案」を高らかに掲げて(ただ勿論そちらは国民投票に付されませんが)、復古主義的自民党改憲案廃案運動という最後の大勝負に挑めばよいのです。
 ただ単に自民党案に反対して現状維持を求めることと、より高い理想を掲げて戦いに挑むことは全く違います。私は、野党共同でより自由で、より民主的で、より平和的で、より個人の尊厳を尊重した「民主改憲案」を策定し、正面から自民党と戦うことにこそ、野党の勝機はあると思います。

 そんなことを言うと、共産党との連携を批判する方々から、相当の批判が出ることは強く予想されます。しかし、こと新潟で野党共闘の結果は素晴らしいものでした。「共闘したら共産党に引っ張られるから共産党との共闘は止めるべきだ。」などという情けないことを言わずに、野党4党の枠組みを維持し、その絆をより一層強めながら、その枠組みを、より現実的政治戦略を、より高度に実行できる方向に引っ張っていくリーダーシップを発揮するのが、野党第一党である民進党の役割であると、私は思います。

 では、野党4党で同意できる改憲案は実際に作れるでしょうか。私は、基本的人権の尊重の充実に改正ポイントを集中することで、十分作れると思います。また、恐らく焦点となる憲法9条についても、私の持論「憲法9条3項自衛隊条項追加案」で同意可能だと思います。
 
 ということで、いま思いついている、私の「民主改憲案」を以下に例示させていただきたます。政治スケジュール上憲法改正の発議前に恐らく1回は必ずある衆議院選において、私は是非、野党4党による民主改憲案を掲げて議席を獲得し、そしてあの復古調自民党憲法草案ではなく、現行憲法をベースにした、より自由で、より民主的で、より平和的で、より個人の尊厳を尊重した世界に誇る新憲法を作りたいと、思っています(それが難しいことは重々承知ですが。)。


憲法前文
(新)現在の前文を踏襲。但し「てにをは」や代名詞だけ修正

第2章 戦争の放棄
憲法9条 戦争の放棄
(旧)
第1項 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
第2項 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
(新)
第1項 変更せず
第2項 変更せず
第3項 前2項の目的を達する為、日本国民は、自衛隊を保持する。

第3章 国民の権利及び義務
第21条 表現の自由
(旧)
第1項 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
第2項 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
(新)
第1項 変更せず
第2項 変更せず
第3項 国民は、国家及びその運営の内容を、知る権利を有する。
第4項 公共の福祉のために、止むを得ず前3項の国民の権利を制限するときは、その制限は、法律のみに基づく、必要最小限のものでなければならない。


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コメント

わたしは今回、森裕子候補に投票しました
しかし率直に言って、やはり同候補及び野党連合の政策にはちぐはぐさが拭えず、到底支持の出来るものではありませんでした
どの候補者も支持出来ないが投票を棄権するわけにもいかず、「これではまるでアタリ無しのクジ引きではないか」というのは、わたしに限らず結構な割合の有権者の本音だったのでは、と思います
わたしはそこで投票行動の根拠として、「投票先の候補者及び政党を信任するための票ではなく、国会の持つ『議席というシステム』に票を入れることによって与党を止めるのだ」という「解釈変更」をすることにしたわけです
当然のことながら本来このような投票行動は禁じ手であり、マトモな有権者のやることではなく、反省しています
私見ですが、このブログ記事の改憲論を含めた米山先生の政策を掲げ、民進党は単独でも十分に戦えたのでは、と思うのです
歪みをまた逆方向の歪みで正そうとする方針は、別の歪みを発生させることにしかならず、野党、とりわけ曲がりなりにも政権交代の可能性を持つ最大野党である民進党には特に猛省を促します
期待しています

『世のなかは、白と黒ばかりではない。その真ん中に広大なグレーゾーン(中間地帯)がある。天下というものは、このグレーゾーンを味方につけなければ、決して取れない。真理は、常に中間にあり。』

これは新潟の生んだ政治家、田中角さんの言葉です

  • Posted by asd
  • at 2016/07/12 03:16:55

地盤、かんばん、カバン
すべて用意しても固辞する人。出馬前でも、ほぼ当確だとしても固辞。
日本の政界、本質的に危うさを秘めていると思います。
と、同時に政治家に魅力とかやりがいがないのではないかと思います。
新潟の選挙結果、意図的に投票したとしてもほぼ半分に分散させることは難しいと思います。
米山先生の感想がお聞きしたいです。

  • Posted by たか
  • at 2016/07/12 10:19:31

asdさんの気持ち、よく分かります。
私は投票に行き、白票(無記入)で投票しようかと思ったくらいです。
しかしながら、「白票」を投票して、自分の真意が伝わるのか?と考えると、これもまたマズイだろうと、、、
この際、当選させたくない人の名前を投票する形式にしたらどうなのでしょう(汗)

  • Posted by 42歳のシングル
  • at 2016/07/12 11:36:13

「第3項 前2項の目的を達する為、日本国民は、自衛隊を保持する。」
???????
集団的自衛権を認めるのですか?認めないのですか?
徴兵制に賛成?反対?
日米安保との整合性は?
教えて下さい。

選挙は、民意の現れの一つだと思います。安倍は、改憲しない(できない)と思います。
一番怖いのは、小泉純一郎の息子が権力を握った時。まさしく、10年、20年先にあると思います。なんたって、安倍より、ハンサムで、国民に人気がありますから。
そうならないよう、頑張って下さい。

ただし、レーニンもマルクスも大嫌いです。

  • Posted by 一般市民
  • at 2016/07/17 20:08:49

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