活動報告

農地集約化② ~自民党と日本維新の会~

  • 米山 隆一
  • at 2013/3/25 08:38:01

 「農地集約化」の記事に対する「M」さんと「いちろう」さんへのコメントが長くなりましたので、別稿として記載します。

「M」 さん、コメントありがとうございます。

 ご指摘くださっている「小野田市」の例で示されているように、農地の集約化には、第1には①地域のリーダー が必要です。そしてもしこのリーダーが非常に強ければいらないものですが、そうでないなら、第2には、②お金 が必要になります。

 私はバブル世代で、東京の「地上げ」を学生としてみました。勿論暴力的手段による地上げは許されてはなりませんし、あれが地域のコミュニティを壊したという一面は否定できません。
 しかし一方で、そのおかげで駅前にまとまった土地が出来、多くの人が貴重な土地を有効に活用することが出来ました(駅前の一等地に、小さな平屋を、さしたる意味もなく維持するのは、その方にとって意味はあるのでしょうが、全体としてはやはり無駄です。)。また、東京の下町商店街の総てが地上げで無くなったわけではなく、町内会などが商店街を保存活動をやったところは、高くなった地価をうまく利用して、趣ある商店街を残しました。

 農地集約化も同じではないでしょうか。「飛び地」とはいえ、日本の農地は、それこそ「農道まで舗装する」自民党政策によって、既につながれています。せっかくの道路ですから移動式の農機具を使ってこれを利用すれば、本当のところ問題はありません。必要なのは、①リーダー(集約化だけでなく、集約後、地理的に広がった農地を効率的に耕作する案を考え、かつ実行する人)と②お金 と、③これを支える制度でしょう。
 うしろから、③は、集約化に向けた税制優遇、融資制度、農地取引規制の撤廃が柱になるでしょう。②は③とダブりますが、これらの優遇制度と株式会社の農業参入で大分解決するでしょう。
 ①のリーダーはなかなか求めて得られるものではないのですが、東京の地上げの例でもそうでしたが、こういう方がいる地域は、それこそ小野田市のように、株式会社の参入を阻んで、かつさしたる資金も使わず(これが株式会社に対する競争の上で優位に働きます)、地域のコミュニティを残すことが出来ます。国の政策として、こういった個人・地域主導の組織に対する融資枠や優遇制度を設置するとともに、地域自体が、こういった人材の育成に力を注ぐ必要があると思います。
 尚、会社組織があれば、個人としてのリーダーがいなくても多くの場合これを代替でき、その意味でも株式会社を農業から排除するのはナンセンスだと思います。

 ところで、「いちろう」さんへのコメントとも重なりますが、実は農水省(自民党)は、既に農地集約化政策を行っています。

http://www.maff.go.jp/kyusyu/seiryuu/keiei/ninaite/noutiryuudouka/pdf/syuseki.pdf#search='%E8%BE%B2%E5%9C%B0%E9%9B%86%E7%B4%84%E5%8C%96+%E6%8B%85%E3%81%84%E6%89%8B+%E5%8A%A9%E6%88%90' 

これこそが自民党政策の悪い例という感じなのですが、意地悪く評すると、

① 農地の集約化という目的自体は良い。
② ところが、「農地取引規制」「株式会社参入」等には踏み込んでおらず、現状維持の中で行政主導(集約化計画は実際のところ各地の行政が主導しています)で、経済原理と無関係な「とりあえずやりました」的な集約化が行われており、実効性は上がっていない。
③ にもかかわらず、参加者全員に広く薄く補助金がばらまかれ、効果が乏しい割に政策経費がかかる。
④ 農協の関与が強く残され、利権の温床となっている。

というところでしょうか。

 自民党政治というのは基本官僚政治で、官僚さんというのは、基本賢い人たちですから、①のところは、たいてい「普通に考えればその通りです」ということを掲げられます。ところが官僚さんは、ドラスティックなことが嫌いなうえに、上に対して「とりあえずやりました。」と言えばそれで仕事は十分ですから、大体の政策は②のような形態をとります。そこに自民党の「集票意図」が加わると、別段強い悪意はなくても、補助金は常に「皆に、広く、薄く配る」(誰かがもらえなかったり、誰かをものすごく得をさせると、票に響きます)ということで③になり、経費が掛かります。そして最後にこれは多少の悪意を持って、集票上、利権を保持している地域の有力者は温存され、④となります。

 現在安倍政権は、民主党が「官僚の言うことと言えばすべて反対」という趣で①の部分すら壊してしまったところを直しているので、当然のように成功し、高支持を得ていますが、②~④の部分は手つかずで、最終的に日本を立て直すことが出来るかどうかは、本当にこれからの安倍首相の手腕次第だということだと思います(田中元首相や小泉元首相は、この部分が長けていました)。

 さて、ここからは「いちろうさん」へのお返事になります。

 「いちろう」さん、コメントありがとうございます。

 私は維新の会に入った時、「いやー、政策が一致して楽だなー。」と思いましたが、それは別段維新の会が偉いわけでも私が偉いわけでもありません。政策というのは基本常識論ですから、上で記した通り、大きな方向では誰が考えても一緒になります(①の部分です)。自分でよく考えて、正しいと思うことを正しいと言えば、多くの部分は一致するということです。

 安倍首相の考え方と私の考え方が一致するのも全く同じことで、基本的に安倍首相は常識論といて正しいことを主張されていて、それは多くの部分で私とも維新の会とも、霞が関の官僚さん達とも、一致します。

 ただ問題は、農地集約化のところで述べたとおり、その実現方法になります。この部分で、変化を恐れず、きちんと本質的な改革を行い、集票目的で「薄く広く」お金を使うのではなく、小野田市のように本当にお金を有効に生かしてくれるところに集中的に使い、かつ、利権は排除する、と言うことが出来るかどうかが、最終的に政策が成功するかどうかを左右するのであり、本当の意味での政治家の手腕が問われるところだろうと思います(私にその器があるかどうかは別として-笑)。

 さて、そして実はここが、次の参議院の隠れた争点でもあると、私は思います。安倍首相に限らず、自民党の歴代総理は、「まっとうな政策」(上記の①的政策)を掲げ、実現しようとしてきました。それを阻んできたのは、民主党でも社民党でもましてや共産党でもなく、自民党自身の集票組織に付属した利権構造と、そこを代表する自民党守旧派です。自民党の敵は、自民党の中に、あります。
 この「内部の敵」を壊すことが出来るのは、小泉元首相のようなそれこそ「強いリーダー」か、若しくは、公明党のような「外部協力者」です。
 小泉元首相については論じる必要はないでしょうが、ここ10年間の自公連立を見る限り、公明党は自民党内部を説得して、新しい政策を実行するのに大きな役割を果たしてきました。ただ惜しむらくは、実行された政策に、比較的民主党的「広いバラマキ」が多かったことでしょう。

 こんなことを言うと怒られるでしょうが、次の選挙で自民党が圧勝し、当面自民党政権が日本をリードするのはほぼ確定でしょう。安倍首相に小泉元首相程の強さがあればそれでよいですが、そうでないなら、圧勝して増大した自民党利権と守旧派に打ち勝って、打ち出した政策を本当に有効にするには、適切な「外部協力者」が必要です(敵対的野党としても、それは広い意味で「外部協力者」です。)。
 大筋として正しい政策を掲げる安倍首相に、変化を恐れず制度改革に取り組み、本当に役に立つ人・物にお金を使い、勇気をもって利権を整理する政策を実行させることが出来るのは、日本維新の会であるということを、私は世に問いたいと思います(勿論10年後には政権奪取を目指すことを前提として)。


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コメント

選挙はそもそも自分の利益を守ってくれる方に投票するというシステムなわけで、いつも利権がどうの~族がどうの言われますが、ごく当たり前のことでもあります。
大まかな分類で言えば国民の利益を守ろうとする人(当然ある程度現実的な政策を掲げる必要があるでしょうが)は多くの支持を受けやすいでしょうし、国民の不利益を主張する人は支持を受けにくいでしょう。
ただ、その行為のために不正な利益を得ることはあってはならない事だと思います。
(細かく説明すると長くなりすぎるので大まかな書き込みにしますので語弊があるかもしれませんがあしからず)
こういった議論の時にはいつも集票に対する悪いことの象徴にように引き合いに出されますので非常に違和感を感じます。
あんまり話の流れと関係ないですし、腰をおるような書き込みで申し訳ありません。
まあ、米山さんも私が言いたいことの大まかな部分は理解されていると思いますけども書き込ませていただきました。

  • Posted by とおりすがり
  • at 2013/03/25 09:14:21

「とおりすがり」さん、コメントありがとうございます。

返信が長くなりましたので、稿を分け、「ボランティアと利権と民主主義」をアップさせていただきました。ご参照いただけると幸いです。

  • Posted by 米山隆一
  • at 2013/03/25 19:12:51

私のような者に丁寧なお返事ありがとうございます

常識的なところは大筋で一致しちゃう・・・
まあそりゃそうなんでしょうね

ただ、公明党は新しい政策というのはちょっと疑問・というか
むしろ、小泉総理以前のどぎづい利益誘導に見えます

公明党って、共産党と貧困ビジネス的なところで、やることがダブっていて(支持者ももろにかぶっていますしね)
とてもやってることは新しいとは思えず、
防衛政策に関しては完全に足を引っ張る存在ですよね(昔ながらの9条教の狂信者にしか見えませんけど)

とはいえ、失業した時に備えて、ナマポを受けられやすいように公明、共産につながりのある人を、友人としてキープしているのであまり悪口を言うべきじゃ無いのかも知れませんが

>大筋として正しい政策を掲げる安倍首相に、変化を恐れず制度改革に取り組み、本当に役に立つ人・物にお金を使い、勇気をもって利権を整理する政策を実行させることが出来るのは、日本維新の会であるということを、私は世に問いたいと思います(勿論10年後には政権奪取を目指すことを前提として)

日本維新の会の米山さんはそれでいいのかも知れませんが、
倒産寸前の会社に勤めてる人間としては、安倍さんに小泉総理やそれ以上の手腕でとっとと今の状態を全部、改善してもらわないとそろそろ死んじゃいます
安倍首相の支持率が高いのって、手腕もそうですがはっきり言って最後の希望の星みたいな扱いになっちゃってるからじゃ無いですか???
安倍首相が能なしだったら・・・なんて言ってる余裕は無いんですよ。私を含めてみんな。
前の3人は日本人から搾り取って、中国、韓国に貢ぐことが正義だってのを隠しもせず、日本人の生命力をガリガリ削りましたしね
自民党にもそういう人は今でもいっぱいいますが(というか民主党がそういう自民党のエキスを凝縮したような存在でしたが)


えらく長くなってしまいました。すいません

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