ニュースの感想

ミサイル誤報 ~実戦無き軍隊の実力~

  • 米山 隆一
  • at 2009/4/07 13:23:24

 昨日北朝鮮がミサイル/ロケットを発射しましたが、特に日本に被害を及ぼすこと無く上空を通過し、太平洋沖に落下しました。今回は迎撃はなされませんでしたが、ミサイルの追尾自体は上手くいったとのことで、先ずはほっと一息です。

 さて、ほっと一息したところで今回の日本側の対応を振り返ると、全体として迎撃態勢は上手く機能したけれど、前日の二度にわたる「発射の誤報」、そして当日の「二段目ブースターの落下推定位置を巡る情報の混乱」など、情報伝達の正確性には大きな課題を残したと言うところでしょう。

 この点について、野党を中心に内閣の対応を責める声が上がっています。私は、不足の部分は十分に反省して改めるべきだと思いますが、事の本質は「自衛隊が創立以来ほとんど初めて、実戦を経験した」事にあるのであって、「内閣の不備」に求めるのは少々酷だろうと思っています。

 私は少年時代柔道をやっていました。柔道の練習には技の型を覚える「打ち込み」と、実戦形式の「乱取り」があります。「打ち込み」は技を覚える上で勿論とても重要なのですが、それだけで強くなることは絶対に出来ません。1000回「打ち込み」をしたけれど1回も「乱取り」をしたことがない人と、「打ち込み」は100回しかしたことがないけれど、「乱取り」を900回繰り返した人が柔道の試合をしたら、例え技は未熟でも、ほぼ間違いなく後者が勝つと私は思います。更に言うなら、「乱取り」も実戦形式とはいえ、所詮は練習です。「乱取り」を1000回したことがあるけれどプレッシャーのかかる公式戦に一回も出たことがない人と、「乱取り」は100回しかこなしていないけれど、公式戦で900回戦っている人が試合をしたら、これまた後者の圧勝ではないでしょうか。

 自衛隊も軍隊であり、軍隊の本質が戦争である以上、今まで一度も本当の戦争を経験したことのない自衛隊が突如実戦にさらされたら、如何に世界第5位の軍事費を支出していようが、F-15戦闘機を202機、イージス艦を4隻を保有していようが、1000回シュミレーションをこなしていようが、その実力はこんな物というのが今回の最大の教訓であると私は思います。

 ではどうすべきか?反対も多いであろう事を承知で述べますが、私は、「是非とも、今後折を見て自衛隊に実戦経験を積ませるべきである」と考えます。十分な法整備を行った上で、ソマリア沖だろうが、アフガニスタンだろうが、「戦闘地域」に行く機会があったらむしろ率先して赴き、必要な武器をしっかり活用して治安維持に努め、次に北朝鮮が挑発行為を行ったら臆することなく迎撃態勢を整え続けることでしか、自衛隊の実力が向上する道はないと、私は考えます。

 このようなことを書くと私を「好戦的右翼」と思われるかたもおられるかもしれませんが、決してそうではありません。先日の「ミサイル迎撃(http://www.election.ne.jp/10840/71231.html)」の記事で述べましたが、私は、最大の防衛は「相手に手を出させないこと」-「抑止力の確立によって、武力を使用せずに戦争を防ぐこと」であると考えます。しかしこの「抑止力の確立」-「戦争をさせない武力」を持つには、「戦争に至らない程度の実戦を経験して、武力を上げ、かつそれを世界に知らしめる」事が是非とも必要になります。つまりは「武力を行使しないために武力を行使せよ」「戦争をしないために戦闘をせよ」と言うことですからを、これを「矛盾」と言ってしまえばそれまでです。しかし私は、これこそが「戦争という現実を防ぐ現実的手段」と考えます。

 少々記憶が不正確ですが、「戦争は、それに備える者の下を避け、其れを忘れる者の下に訪れる」という格言があります。日本の防衛を確立し、絶対に戦争を起こさせないためにこそ、絶対に武力を行使しないためにこそ、是非とも自衛隊は今後継続して実戦経験を積むべきだと、私は考えます。


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