ニュースの感想

いつか来た道

  • 米山 隆一
  • at 2008/12/02 22:45:17

 本日自民党総務会で、シーリング撤廃で意見が一致したと報じられました。ここのところ反対意見を言ってばかりで私自身少々気が滅入っているのですが、私はこの方針に反対です。

 社会保障費は少子高齢化に伴って自然に増えていくものですから、これを削減し続けることに無理があると、私自身も思います。しかし、公共事業-社会資本整備は、基本的にはやればやるほど「終わる」はずですし、現今の少子高齢化の元では、所謂「箱物」の需要は「自然減」するはずのものです。それを考えれば、公共事業費を毎年3%程度減少させるのは、「比較的自然なことで、決して無理ではないように私には思えます。 

 総務会では、「公共事業をこの段階で悪と言ったら何の政策も打てない」(加藤紘一先生)との論拠が出されたようですが、正直それは発想が貧困だからではないかと思います。現在の日本は医療・年金をはじめとする社会保障の整備に始まって、教育の充実、失業対策から中小企業支援、技術開発、資源確保に至るまで取り組むべき課題が山積しています。それらのどれにお金を使ってもマクロ経済的には全く同じ景気刺激効果を有するはずで、「景気刺激=箱物中心の公共事業」は、よく言って論拠のない固定観念、悪く言えば単なる思考停止でしょう。

 そもそも小泉政権がシーリングを採用して財政緊縮路線を採用したのは、何も小泉氏が自分勝手なサディストだったからではなく、バブル崩壊後小渕内閣がしゃにむに公共事業を行い、国の借金を800兆円という天文学的額に拡大してしまったからです。それは一時的には地方経済、そして日本経済の活況をもたらしたかもしれませんが、国の実力を超えたものであったが故に、結局の所産業構造を固定化させると同時に、借金の返済に追われて新たな投資を出来なくすることで、地方経済の自立を阻み、日本経済を弱体化させてしまいました。

 今また国の実力を無視した公共投資を行うことは、この過ちを再び繰り返し、国の借金を更に倍加させる危険をはらみます。そして何よりこの路線を採用し続ける限り私たちは、「公共事業を削減すれば経済が破綻し、削減しなければ財政が破綻する」という出口のない一本道から永遠に逃れられません。

 私は、この「いつか来た道」の轍を踏まない為に、必要な公共事業は維持しつつ、社会資本の整備完了と人口減に会わせて総額としての事業費を徐々に削減し(3%は、目安として妥当でしょう)、その浮いたお金を、社会保障の整備、教育の充実、失業者の再就職支援、中小企業支援(公共事業の削減で被害を被る建設業の方への支援も、当然ここに含まれます)、技術開発、資源確保等、地方経済・日本経済が新しい時代に適合して変わっていく為の投資として、使うべきであると考えます。たとえ遠回りに見えても、そうやって公共支出に頼らない、真に強い地方経済・日本経済を作っていくことでしか、地域再生、日本経済再生の道はないと考えるからです(そうやって経済が再生すれば、日本の国の実力-税収が上がり、今度はそれにあわせて、大手を振ってより高度な社会資本整備が可能となります)。


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コメント

シーリングって何question

  • Posted by ???
  • at 2008/12/03 23:07:26

各省が出す予算の上限のことです。通常前年比であらわされます。「シーリング -3%」は、前年比3%減が上限ということになります。

  • Posted by 米山 隆一
  • at 2008/12/12 00:58:18

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