ニュースの感想

一世が政治家になると言う事

  • 米山 隆一
  • at 2008/9/02 13:54:45

 昨日安部前総裁に引き続き、福田総裁が辞意を表明しました。私は割と何でも「自分が同じ立場だったらどうするだろう」と考えるのですが、お二人の立場に立ったとき、あらゆる手段を講じて権力に執着するだろう自分は簡単に想像でるのですが、お二人のように「打つ手を残して潔く退く(私にはそう見えます)」自分は正直全く想像出来ません。これを「一世と二世・三世の違い」と絡めて考える事それ自体が的外れなのかもしれません。しかし、「一世」になろうと苦闘している私の目には、そこに原因の一端がある事を否定できないように思えてしまいます。
 その理由である、「一世が政治家になると言う事」を、私の経験から少し書かせていただこうと思います。

 一世が選挙への立候補を口にしたら、その瞬間から、自分以外のすべての人からの非難・批判・冷笑・誤解を覚悟しなければなりません。
 先ず「家族・親戚」は、選挙となれば「個々人の気質や事情を半ば無視して」「否応もなく」かり出されます。私の場合急な選挙で、家族の全員がテレビで私の立候補を知ったという状態でしたから、選挙それ自体は四の五の言う間もなく終わってしまいました。しかし選挙後一時期は、「何故お前の的外れな出世欲の為に、家族が犠牲ならなければならないのか」「そもそもお前はそんな事には向いていない、止めなさい。」等々、家族中からつるし上げに近い状態になりました(家族の身になってみれば当然でしょう)。
 「同級生・友人・知人」は、協力を強制されるわけではありませんので、立候補を認めてくれる人は残り、そうでない人は離れると言う事になります。しかし、その過程でかつての友人たちからそれ相応の批判や非難、更には「あいつ、何をトチ狂っているんだ」という冷笑や黙殺を受けるわけで、それなりの寂寥感を感じずにはおれません。
 「隣近所の方」「自民党その他の組織の方」には、去就の自由がある方も、なから強制的に協力させられる方もおられますが、いずれにせよそこに「組織」が介在しているので表だって個人的非難を受ける事はあまりありません。しかし、特に私のように自分が立候補するまではあまりそう言った活動に熱心でなかった者には、「何故今まで組織に何の貢献もしてこなかったお前に、協力しなければならないのか」と言う冷めた目がついて回ります。

 一世が選挙に出るという事は、こういった批判・非難を正面から受け止めるという事に他なりません。批判や非難の中には明らかに誤解に基づいているものもあります。そういった批判・非難には冷静に反論すればそれで良いのですが、「何故私があなたの犠牲にならなければならないのか」「お前にそんな力があるとはとても思えない」等々、自分が相手だったら正直同じ事を思うだろうなと言うものもたくさんあります。そう言った「もっともな批判・非難」には、「あなたの指摘はもっともだが、どうか私を許して、そして私を信じて力を貸して欲しい」と言うしかありません。

 そしてこういった批判・非難に対応してどうにか何人かの理解を得たとして、それだけではまだ足りません。本気で当選しようとするなら「自前の選挙スタッフ」をそろえ、「自前の後援会組織」を作らなければならないからです。
 前者はお金を幾らかけても良いならどうとでもなる話なのかもしれませんが、決して豊かとは言えない財政の中から出せる報酬には限界があり、限られた人数と資源で、20万人に効率的に働きかけるうる組織を築き上げるのは、容易な事ではありません。
 「自前の後援会組織」となることこれは全くの無報酬なうえに、立場毎に強弱は有りますが、それなりに世間の矢面に立たなければならない訳で、そんな事をして下さる奇特な人を探し出すだけでも一苦労と言う事になります。

 そしてそんな苦労の末に見事当選しても、おそらくは1年生議員の発言力は1/480とは言わないまでも、与党内平均である1/240(議席に増減はありますがそこはざっくり半数で)よりはずっと低くて、自分のやりたいと思っている政策の何程を実現できるわけでもないでしょう(勿論その為に全力で努力はしますが)。善し悪しはともかく、3回、4回と当選を重ねてやっと少し発言権が生まれ、それなりに自分の政策を実現するには5回、6回の当選を待たなければならない、それまでの間は忍の一字というのが現状ではないでしょうか。

 そんなこんなを乗り越えて、それでも政治家になろうと思い続けていられるのは、「総理大臣になれば(私は本気でそう思っています)、自分の意図する政策が実現できる」と思えるからに他なりません。二人の総理・総裁にはお二人にしか分からない事情も考えもあったものとは思います。しかし、二世・三世で有るとはいえ大変な苦労の末に掴んだ地位、それも自分の政治への思いを実現するのに、これ以上ないという地位を自ら辞する気持ちは、現在の私には、どうにも理解ができません。私には、「自分がもし総理だったら、何が何でも自分の政策を実現しようと権力にしがみつくだろうし、もしにっちもさっちもいかなくなったら、それこそ乾坤一擲、そう言う状況でもなければとても言い出せないような抜本的改革案を提示して総選挙に打って出て、自らの政策の完全な実現と反対派の一掃の一挙両得を試みるだろうに・・・」としか思えないからです。「あなたとは違うんです」、有名になった総理の言葉は、そのまま総理と私の懸隔を示すものなのかもしれません(立場があまりにも違うので、懸隔があって当然ではありますが)。

 来るべき総裁選で選ばれた新総裁と伴に、全力で選挙を勝ち抜き、この政治の機能不全が日本の機能不全となる事を、なんとしても防ぎたいと、心より思います。


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コメント

一世が政治家になるというのはものすごーく大変なことなんですね。
福田総理の辞任、新総裁選出、総選挙となるんでしょうかねえ。
総選挙後は自民党は与党じゃなくなるんだろうなあ。

  • Posted by tora
  • at 2008/09/03 15:38:03

9月8日、41歳のお誕生日おめでとうございます。総裁選挙後、10月解散11月総選挙になりそうな気配ですが、今度こそ米山議員誕生に向けて、隆和会も応援します。是非、頑張って下さい。

  • Posted by 山本幸彦
  • at 2008/09/08 17:49:53

突然のお願いですみません。
私のアンケートご協力頂けないでしょうか?
政治家の皆さんへ 順次ご協力頂いています。
http://ameblo.jp/tutiryu/entry-10141988465.html
アンケートは tutiryu55@yahoo.co.jp/ 
に返送して頂ければ助かります。

よろしくお願いします。

  • Posted by tutiryu
  • at 2008/09/21 16:08:07

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