ニュースの感想

テロ対策特別措置法

  • 米山 隆一
  • at 2008/1/12 14:45:58

 昨日衆議院でテロ対策特別措置法が再議決され、成立しました。議論は分かれますが、私はこれは憲法に定められた正当な手法であり、何ら問題のないものだと考えます。これに対して民主党は「直近の民意を無視した暴挙だ」としていますが、これは筋違いの批判だと思います。

 まず第一に、前回の参議院議員選挙の時点においては、テロ特措法は大きな論点にはなっていませんでした(自民党がここまで大敗するとは誰も思っていませんでしたから)。あれで「民意は示された」というのは正直言って誇張でしょう。

 またそれ以上に私は、「民意」を過度に強調することは、究極的には議会制民主主義の否定につながることに、注意しなければならないと考えます。国民主権の大前提に基づき「民意」は確かに最大限尊重されなければなりません。しかし、すべての問題にただひたすら「民意」をダイレクトに反映すべきだというのであれば、そもそも国会など開催せず、ありとあらゆる問題を国民投票で決めるのが一番良いことになりますし、そこまでいかなくても、「衆議院だろうが参議院だろうが、何かあったらともかく解散して民意を問うべきだ」、位の事にはなってしまいます。古くアテネの衆愚政治の例を出すまでもなく、残念なことに、そのような形の直接民主制は、思われているほどうまく機能するものではありません。

 民意によって選出された一定の任期を有する議員間の討論によって、国政の諸問題に対する一貫性のある妥当な結論を探り出す、それこそが、「民意の反映」と、「効率的で適正な国政運営」を両立するために先人が作り上げてきた知恵であり、憲法に定める「議会制民主主義」の大原則に他なりません。衆議院の再議決の規定を始め、衆参の2院制や、参議院の解散なしの6年の任期もこの大原則を実現するための諸規定の一環であり、これに従って国政は運営されています。これらの規定にのっとって行われた参議院選で勝利した民主党が、その勝利を背景に「衆議院の再議決」のみを非難するのでは、ご都合主義のいいとこ取りといわれても仕方がないと、私は思います。

 自民党は、「十分な議論と憲法に定める議会制民主主義の規定に基づき、『継続的な日本の国際貢献』という妥当な結論が得られたことは、大変素晴らしいことである。」と正々堂々と主張すべきだと、私は考えます。


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