活動報告

法律講座への回答と反論

  • 米山 隆一
  • at 2015/10/18 15:33:57

  橋下氏が、「維新の党の国会議員への法律講座」と題して、以下のようなツイートを行っています。正直周囲から「もうレスポンスするな。」と言われているのですが、一応私も「維新の党 新潟県総支部 代表代行」ですので、我が党に向けられた公然たる批判に反論するのは、職責に属することであろうと思いますので、必要最小限の範囲で回答・反論させていただきます。

 橋下氏のツィートは多岐にわたりますが、反論するに足る法律的主張を含むものは以下の通りです。コピーアンドペーストしているだけで、毒気に当てられて嫌になるのですが、せっかくですので一つ一つ回答・反論させていただいております。特に氏の主張の核となる(2)(10)(15)(18)についてご参照いただければと思います。

 下記を読んでいただきますとわかりますが、氏の批判は基本的には思い込みに基づく根拠なき断定と、一方的なアナロジーのあてはめに基づくものであり、到底法的議論といえるものではなく、万が一法廷闘争となったとき、法的評価に堪えられるものではありません。ご主張はご主張、それ自体は自由ということで、我が維新の党としては、超然として聞き流すということでよいかと思います。

-----------以下橋下氏のツィート抜粋------------
(1)幹部と名乗る人たちがダラダラしゃべっているが、中身はほとんどない。まとめると2点。1、大阪組の国会議員や関係者(僕も含まれるみたい)は、任期切れのことを今まで言わなかった。2、規約附則4条の「補則」に本規約に定めのない事項については、執行役員会で決定する、となっている。の2点だけ
<反論>
 ダラダラしているか、中身があるかないかはともかく、維新の党側の主張のまとめとしては、概ねその通りです。

(2)まず彼らの反論1、について。大阪組の国会議員がこれまで任期切れのことを言わなくても、それは国会議員が言わなかっただけ。今回、代表の任期切れを問題視しているのは特別党員だ。しかも僕が代表選の日程を遅らせることに合わせて代表の任期延長も認めたことを反論理由に挙げる。バカじゃないの。
<反論>
 「バカじゃないの」の根拠が分かりません。日程を遅らせる以上、当然代表任期切れの状態が生じますが、政治団体は代表を定めなければなりません(この点橋下氏は「今維新の党には代表がいない。」と言っていますが、政党は政党法人格付与法に基づき登記の成立をもって法人格を取得し、変更があった場合は届け出が義務付けられていますので、「代表がいない状態」というのはそもそも予定されていません。)。従って、日程の延期は、当然にその間の代表権の定めを含んでいたものであり、一般通念上前任者の任期が延長されていると考えられます。また、上記の政党法人格付与法上も、登記が変更されていない以上、少なくとも対外的には前任者が代表であると解されます。
 尚、国会議員が代表任期切れに異議を唱えなかったということは、後に出てくる附則4条でこのような事態について決定権限を持つ執行役員会において、任期延長(若しくは任期終了後の代表権を含む職務執行)を含むものとして日程延長の合意がなされた証左と考えられます。
 従って「バカじゃないの。」には、「バカじゃなくて当然の反論をしているだけです。」とお答えすることになります。

(3)そして2点目。党の最高規範である規約に書いていないことは執行役員会で決めることができるという附則4条の補則の存在。維新の党の幹部と名乗る人たちの反論の頼りの綱はここだけ。平成3年の監獄法施行規則に関する最高裁判例を一回くらい読んだらどうだ?いわゆる委任立法の限界というやつだ。
<反論>
 今やっているのは、規約の解釈論です。なぜ監獄法についての最高裁判例が適用されるの全く分かりませんし、根拠も示されていません。

(4)まず「附則」「補則」という表題通り、これはサブなんだよね。だから党大会が執行役員会に万能の権限を与えたわけではない。平成3年の最高裁判例も、白紙委任は認められないという明確な法理論を示した。こんなの憲法41条の基本の話。
<反論>
 同様です。最高裁判例は関係ありません。

(5)国会が法律を作るところ。でも法律で全て詳しく書くことはできない。だから行政に細かなところは委ねる、とだいたいの法律はなっている。しかし国会こそが国権の最高機関であり、唯一の立法機関(憲法41条)だから、行政で何でもかんでも決められるわけじゃないよ、というのが平成3年の最高裁判例
<反論>
 ご説ごもっともですが、関係ありません。

(6)党で言えば、党大会が国会。党大会が最高議決機関(規約6条)。執行役員会は内閣、行政・執行機関(規約第4章)なんだよね。維新の党の国会議員には三権分立から教えないといけないよ。維新の党の国会議員は頭でっかちの集団。知識と自分達がやっている現実が結びついていない。
<反論>
 本件と三権分立は、漠然としたアナロジー以上には何の関係もありません。

(7)国会の法律で決めた以上のことを、内閣や行政がやれば、維新の党の国会議員は口から泡を飛ばして糾弾するでしょ。行政は国会軽視!法律軽視!だと。今、維新の党の幹部を名乗る人たちがやっているのは、国会軽視の行政と同じことをやってるんだよ。党大会が国会。執行役員会は内閣。
<反論>
 氏がそういうアナロジーで考えるのは自由ですが、当たり前ですが執行役員会は内閣ではないし、党大会は国会ではありません。別の組織です。

(8)平成3年の最高裁判決は、法律の趣旨目的に照らして、委任の範囲を考えよう、となっている。これを維新の党にあてはめると、規約の趣旨目的に照らして、執行役員が定めることができる範囲を考えようとなる。維新の党の幹部を名乗るバカどもは、万能の権限を与えられたと勘違いしている。
<反論>
 維新の党の先輩たちがどう考えているか分かりませんが、繰り返し最高裁判例は関係ありませんし、「万能の権限を与えられた」とも思っていません。

(9)維新の党の幹部を名乗るバカども達よ。法律で行政に委任しているいわゆる委任立法においては、行政が何をやろうが文句を言わないと言うんだな?吐いた唾を飲みこむなよ。ということで、維新の党のバカども国会議員は内閣・執行部が万能の権限を持つとの考えらしい。こんな国会議員、日本に要らん。
<反論>
 維新の党の先輩たちは日本に必要だと思いますが、いずれにせよ法律と行政の委任は、維新の党の規約の解釈論とは無関係です。

(10)維新の党の国会議員は、口を開けば、国会議員が行政をチェックすると言う。今回の維新の党騒動にあてはめる想像力がないのかね。特別党員が国会議員、党大会が国会、執行役員会は内閣だ。党大会(国会)は執行役員会(内閣)に一定期間の執行権を与えた。内閣が任期切れになったときに、どうするか?
<反論>
 内閣が任期切れになったにもかかわらず、次の内閣が選任されないという事態が生じた場合、「内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行ふ。」(憲法71条)と定められています(尚、この条項は直接任期切れの場合について定めているものではありませんが、この類推解釈で、万が一任期切れが生じた際も、前任者が職務を行うことになると解されます。但し、日本の内閣は「任期制」ではありませんので、本当のところ任期切れという事態は発生しません。大変恐縮ですが、氏は、内閣の任期についての憲法の規定にお詳しくないものと思います。)。従って万能ではありませんが、前任者が、普通の内閣と同じ権限をもって職務を行うことができます(但し一般業務に限られ、解散等、政治状況を変えるようなものは含まれないと解されます。)。そのアナロジーということなら、執行役員会が任期切れで後任が選ばれない時は、前任者が従前の権限を有するものと考えられます。尚除名は一般業務の一部と考えられ、執行役員会で実行できるものと考えられます。

(11)維新の党には、内閣が任期切れになったときの法律が存在しない状態。このときに、内閣が万能の権利を有するというのか。その根拠が附則の補則。維新の党は国会議員も地方議員も対等の政党。ゆえに党大会の最高議決機関性は、国会の内閣に対する最高性よりも強いものだ。
<反論>
 万能の権利は有しませんが、代表がいないと困るので、附則4条があり、そのような事態にどうするか対処されています。その附則4条に基づいて前任者の権限の延長がきまっているなら、何の問題もありません。
 「維新の党は国会議員も地方議員も対等の政党。ゆえに党大会の最高議決機関性は、国会の内閣に対する最高性よりも強いものだ。」については、氏がそのように考えているということは理解しますが、それを裏付ける規約上の根拠はありません。

(12)党大会が執行役員会に委ねた範囲は限定的に考えるのが筋だ。白紙委任は論外。そしてそもそも委任者と受任者の関係で受任者が自分の任期を勝手に延長できるなんてことは一般法理論としても絶対にあり得ない。維新の党のバカども達は、執行役員会がたかだか執行を委ねられた者に過ぎないことを忘れている。
<反論>
 氏がそのように考えているということは理解しますが、それを裏付ける規約上の根拠はありません。

(13)大阪府議団、市議団と同列の国会議員団に党の代表選出の権限は一切ない。執行役員は、執行を委ねられた受任者。受任者が委任者の意思を無視して、自らの任期を勝手に決めることができるわけがない。
<反論>
 「大阪府議団、市議団と同列の国会議員団に党の代表選出の権限は一切ない。執行役員は、執行を委ねられた受任者。受任者が委任者の意思を無視して、自らの任期を勝手に決めることができるわけがない。」についても、氏がそのように考えているということは理解しますが、それを裏付ける規約上の根拠はありません。なお、任期は勝手に決めているのではなく、後任者が選任されるまで引き続き職務に当たるとしているだけです。

(14)そして規約に書いていないことは執行役員会が決めることができるという定めがあっても、それは白紙委任ではない。規約が執行役員会に委任した委任の趣旨目的に照らし合わせて、執行役員会ができることを考えなければならない。執行を委ねられた者は、常に自らを規定する法に謙虚でなければならない。
<反論>
 一般論としては、その通りでしょう。

(15)今の維新の党の騒動にあてはめてみる。党の規約が憲法とすると、規約の附則4条に、規約に定めのないことは執行役員会が定めることができる、とある。まさに緊急事態条項のようなもの。でもこの附則4条は、完全に白紙委任。これだと執行役員会が何でもできることになってしまう。こんなバカな話はない
<反論>
 「規約の附則4条に、規約に定めのないことは執行役員会が定めることができる、とある。まさに緊急事態条項のようなもの。でもこの附則4条は、完全に白紙委任。これだと執行役員会が何でもできることになってしまう。こんなバカな話はない。」とおっしゃいますが、附則4条に、「本規約に定めのない事項については、執行役員会で決定する。」と書いてある以上、それは決めることができて当然でしょう。しかも別に「何でもできる。」のではありません。「規約に定めのないこと」を決めることができるだけです。代表の任期切れ後後任者が決まらないときどうするか決まっていなかったら困りますから、それを決めるのはこの附則のまさに予定するところだと思います。

(16)維新の党の国会議員は、規約附則4条をたてに、執行役員が何でもできると主張している。憲法を一から読み直せ。もし完全な白紙委任なら、その規定自体が無効。有効にするなら、規約の趣旨目的に照らして、執行役員会が定めることができる範囲を限定解釈しなければならない。
<反論>
 繰り返し、べつに「何でもできる。」とは主張していません。「規約に定めのないこと」を決めることができるといっているだけです。そしてこれも繰り返しですが、代表の任期切れ後後任者が決まらないときどうするか決まっていなかったら困りますから、それを決めるのはこの附則のまさに予定するところだと思います。

(17)そもそも法の一般論として受任者が、委任者の意思を無視して自らの任期を延長することなどできるはずがない。株主総会と取締役の関係、有権者と政治家の関係を考えれば一目瞭然だ。取締役が政治家が、自分たちで勝手に自分の任期を延長できるわけがない。それをやろうとしているのが維新の党の国会議員。
<反論>
 「そもそも法の一般論として受任者が、委任者の意思を無視して自らの任期を延長することなどできるはずがない。」については、そんなことないでしょうと思います。後任者が決まるまでの間どうするかは、普通に決められるでしょう。「できるはずがない。」と氏が考えていることは分かりますが、それを裏付ける規約上の根拠はありません。

(18)維新の党の国会議員への規約の読み方講座。規約附則4条で、執行役員会で何でもできると言っているバカども達へ。規約附則4条は、執行役員会への白紙委任なら、当該規定がそもそも無効。有効に解するなら、規約の趣旨目的に照らして合理的に限定解釈する。これが合憲限定解釈という法理論。
<反論>
 繰り返しですが、別に白紙委任だとは全く主張していません。字義通り、「本規約に定めのない事項について」決めているだけです。代表がいないと政党法人格付与法上こまってしまいますから、前任者の任期が切れ、後任者が決まっていない場合の代表権を誰が行使するのか(誰が代表なのか)決めるのは当然です。

(19)維新の党の国会議員への法律講座。委任関係において、受任者が委任者の意思を無視して受任期間を延長することなど絶対にできない。
<反論>
 委任者の意思を無視していないです。規約に定めがないと困ることがあったらすぐ対処するために、附則4条に、「本規約に定めのない事項については、執行役員会で決定する。」と定められているので、その意思に従って必要事項を定めただけです。なおここに言う「委任者」は、法(規約)理論上の委任者であって、個別具体的な委任者のことではありません。

(20)維新の党の国会議員への三権分立講座。内閣の一員(執行役員の一部)が認めたからといって、国会(特別党員)がすべて認めたことにはならない。同一人物が、内閣(執行役員)の一員のときの主張と、国会議員(特別党員)から委任を受けたときの主張が異なるのは当然。
<反論>
 内閣と国会についての一般論はその通りでしょうが、そのアナロジーがどういうふうになぜ本件に適用できるのか根拠は全く説明されていません。


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