ニュースの感想

不自由なる社会~都議会野次問題に思う~

  • 米山 隆一
  • at 2014/6/27 02:04:20

 非常に保守的な主張をされることで有名な男性都議が、比較的(もしくは非常に)革新的な生き方をされてきた女性都議を野次った事件が、世間の耳目を集めています。

 男性都議の野次が知性のない言語道断なものであること、これを隠そうとした男性都議の態度が潔くないこと、これに続く事実を隠ぺいする自民党の姿勢が気持ち良いものでないことは、論を待ちません。

 一方で、極端な保守の方々からは、女性都議の革新的(もしくは非常に自由な)生き方に非難が上がっており、TVはともかく、都内の週刊誌の中刷り広告はこの一件で双方泥仕合の様相を見せています。

 どっちもどっちでコメントするまでもない気もしますが、一連の騒動を見て私は、「不自由な社会だよなぁ」と思います。女性都議の手法に議論の余地はあるにせよ、自らの質問中に揶揄されたのは間違いないのですから、それに反論するのもその相手を非難するのも当然のことです。男性都議は、野次った以上、当然その手の反撃は覚悟しておくべきことで、女性都議の手法に異議があるなら、これまた堂々と反論すればよいことでしょう。ところが男性都議は自らの所属する自民党内の処遇を慮ってかだんまりを決め込み、なぜか周りの応援団が、女性都議の反論そのものではなく、女性都議の若かりし頃の(もしくは現在の)革新的生き方をほじくり出してはあげつらっています。
 個人的好みとして、話題の女性都議のような生き方を好きな方も嫌いな方もいるとは思いますが、別にそんなものは個人の勝手でしょうし、そもそも過去のどこをたたいてもほこりの出ない立派な方はまずおらず、たとえいたとしても、中二の頃の中二病をあげつらわれて赤面しないで済む人は滅多にいないでしょう。

 「女性はこうあるべき」「男性はこうあるべき」「組織の中でこう行動すべき」が何より大事で、そこから外れるものは全力で批判するのに、なぜか「男は〇〇をするものだ」「組織の中で〇〇は仕方ない」には寛容で、しかも、自らの所属する集団(自民党)から見捨てられそうになるや借りてきた猫のようにおとなしくなって恭順の意を示すのは、結局のところ、所属する集団に帰属することでしか自分を主張できず、所属する集団から外れていることでしか相手を批判できない不自由な生き方をしていることを端的に示しているように思います。
 
 この野次騒動で明らかになったのは、集団への帰属を第一とする生き方の不自由さ、そしてそこから外れる人の生きづらさ、ひいては日本という社会にある不自由さと生きづらさではないでしょうか。

 泥仕合的ニュースを見て、少々ネガティブな気分で書いた少々ネガティブな記事で恐縮ですが、気を取り直して、多くの人が、自由に、互いを尊重して、幸福に生きられる社会を創っていきたいと思います。


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一般女性に対し「結婚しろ」というのはセクハラであり、議員として失格である事は言うまでも無い。

ただ、塩村議員は恋のから騒ぎで数々の暴言を吐いていますし、一般人ではない。

そんな彼女がセクハラ発言で泣いても同情に値しない。ただ、何も知らないマスコミがあおっているだけだ。

確かに、結婚や子育ては義務ではない。
だけど、そんな人間が30%も出てきたら日本はどうなるか?
義務じゃないからしなくても良いって発想は幼稚だと思う。
実際に少子化問題を引き起こし、未来の世代へ負担をかけている事は間違いない。

私ら夫婦も不妊治療を続けて頑張っている。
子供を産める体を持ちながら放棄してる人がうらやましいと思いますし、もったいないとも思います。

結婚や出産の自由を個人レベルでなく、日本という大きな単位で考え直してもらいたい。

米山さんも支援者達に「早く嫁もらえ」と言われて居ると思います。

私も米山さんへ投票した者としてお願いしたい。
米山さんの様な優れた人間のDNAは将来の日本のために必要です。

米山さんのご子息なら多くの人々の命を救ったり幸せを守ったり、笑顔を作ったりしてくれると願っています。

これもセクハラ発言になるのかな?

  • Posted by 匿名希望
  • at 2014/06/27 14:16:09

40超えて独身の私(男)は、よく「早く結婚しろ」と女性からも言われます。
私は、「そんなに私を口説かないでよ」とわざと大きな声で切り返してますが、女性が言われてハラスメントと言われ、男性が言われると単なるからかいで済むというのは釈然としませんな。
というか、ああいうことを言われて切り返せないような人は、政治家としてどうかと思いますね。

  • Posted by 名無し
  • at 2014/06/29 19:04:57

匿名希望さん、名無しさん、コメントありがとうございます。

 ええ、ご指摘の通り、私もこれはとてもよく言われますし、私自身会議で少子化・晩婚化の話をするときは、冒頭で「私が言うと、『お前が言うな』ではあるのですが…」とつけています(笑)。それでも言われたときには、「私がこんなにがんばっているのに婚活に成功していないということが、まさに当事者の努力だけでなく、行政・社会の在り方を変える必要があることを示しています(笑)。」と応じています。

 ただ、何というか、民主主義って「理念」俗な言葉で言えば、「建前」だと、私は思っています。「民主主義」と言ってみても、よくわからない間に権力をつかんだ議会のドンみたいな人(新潟県にもいますよね-笑)が大きな権力を握ってしまい、有権者の権利がないがしろにされることは実際問題よくあります。「個人の自由」と言ってみても、私が明日いきなり仕事を辞めて、南の島に逃亡する自由は、現実としてはありません。
 でも、ドンはいるけど、しかし理念としては権力は有権者が持っているのだ、社会の中で不自由なことはたくさんあるけれど、理念としては、私の人生は私が決めるのだということは、非常に重要なことで、これがあるからドンの専横にも歯止めがかかり、私は自らの人生をよりよくすべく、努力することができるのだと思います。

 都議会の野次も同じような話で、現実問題として、こんなことを言う人は山のようにいます。こんなことは、笑顔と皮肉で切り返すのが、現実的対処と言うもので、それが出来なかった方の「現実的対応能力」に疑問符が付くのはある意味当然でしょう。しかし一方で、少なくとも公の場で(「野次(不規則発言)」は「不規則」なだけで、あくまで公式な議会での公の発言です)こういうことを言ってはいけないのだ、それをした人は少なくとも相応の謝罪をしなければならないのだ、それは相手に対応能力があるかないかとは無関係なことなのだという原則、理念は、やはり守られなければならないのではないでしょうか。
 この理念がなくなったら、野次・暴言はやり放題になって、しかも何を言っても、「相手がかわさないのが悪い。」と言い訳できてしまうからです。

 「議会は不規則な発言で相手をあてこするところではなく、正々堂々、自らの主張を掲げ、相手の主張を傾聴し、言論を戦わすところである」と言う当たり前の、そして死守されるべき理念を、この問題を契機に、東京都議会、そして全国の議会、国会が思い出すことを期待します。

  • Posted by 米山隆一
  • at 2014/06/30 09:06:46

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