高齢化の医療経済

  • 米山 隆一
  • at 2006/12/24 14:49:09

 11月26日に、米山家では親戚一同を集めて、祖父、祖母の米寿を祝いました(写真をご覧下さい)。現在祖父は88歳、祖母は89歳になります。我が家の例をとるまでもなく、日本人の寿命は大変延びました。

 この「高齢化」について日本では、「高齢化によって医療費が増える」ことが半ば常識のように語られています。しかし最近アメリカで行われた調査から、実は「平均寿命の延長による高齢化」そのものは、国民医療費を変えない(変えたとしてもその増加量は少ない。但し、人口構成の変化による高齢化は国民医療費を変えます。)と言う結論が導き出されています。現在厚生省等が使っているロジックは、「今65歳以上の高齢者人口は○○人で、高齢者医療費は□□円である。」→「高齢化によって高齢者人口は△倍に増える」→「だから高齢者医療費も△倍に増える」と言うものです。この論理は、現在の65歳以上の高齢者の健康状態と、これからの高齢者の健康状態が同じであることを、暗黙の前提としています。ところが良く考えてみると、今までの高齢者の健康状態とこれからの高齢者の健康状態が同じであったら、そもそも平均寿命は延びなくて、社会は高齢化しません。これからの高齢者は今までの高齢者よりは遥かに健康状態が良いからこそ平均寿命が延びて高齢化するのであって、今までの常識は当てはめられないわけです。

 アメリカの調査から分かった事は、「個人の生涯医療費は、死の直前の2年間でその大半が使われて、50歳で亡くなっても100歳で亡くなってもそれほど変わらない」−「長生きする人も若くして亡くなる人も、死の直前までは健康な状態ですごし、一度健康状態が悪化したら、数年内に亡くなることが多い」です(ここで言う「健康状態の悪化」は、一人で寝起き・食事が出来なくなる程度の「悪化」を指し、定期的な通院等は含まれません。またあくまで「平均」の問題であり、個別には回復なさる方は勿論たくさんおられます)。

 ここから導かれる教訓は、3つあります。一つは、「如何に医療が進んだとはいえ、一端健康が損なわれると、その本格的回復は難しいことが多い。健康の維持に最大限の労力を払うべきである」と言う古くからの真理でしょう。次は、「現在の寿命の延長は、現に『健康な時間』の延長によってもたらされている。『若さ』の基準を考え直すべきである」だと思います。(別の調査によって、「現代の年齢」x0.75が大体において1950年ごろの年齢に当たるといわれています−現在の50歳の健康年齢は、1950年代の40歳程度と言うことになります)。これらを踏まえて最後の教訓は、「年齢に関して今までの常識にとらわれない社会制度を構築すべきである」でしょう。年金問題、老人医療費の問題、労働問題、少子化問題について、「人はかつてよりずっと若く、健康である」事を前提として、これを維持しながら最大限に生かせる制度を作って行きたいと、私は思っています


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