米山隆一の10年先のために

　安倍首相が、「希望を政策にしない」と述べて、「30年代原発ゼロを見直す」ことが報じられています。

　私自身原発容認・推進派ですし、安倍首相がそういう意図で言ったのではないことは理解できますが、あえて反論させていただきます。

　「夢と希望を、政策にしましょう！」と。

　民主党的に、夢や願望が何の苦労もなくそのまま実現できると考えることが、無益どころか有害であることはその通りです。しかし大変恐縮ですが、

「200兆円の公共事業をすれば民間投資が増える！」

「公共投資をすれば、地方は元気になる！」

「金融緩和をすれば、円高が是正されて景気は回復する！」

「国防軍にすれば自衛隊は強くなる！」

というのも、「夢と願望が何の苦労もなくそのまま実現する」と考えている点で、民主党的政策と大差ないように見えます。

　必要なことは、「夢と希望」を実現するには、適切な現状認識と、それに基づいた注意深い立案と、果断で揺るがぬ執行と、たゆまぬ改善が必要であるということをしっかりと理解して、それを「制度設計・立法・行政執行・事後評価」一体とした本当の意味での「政策」という形に作りこみ、実現することであると思います。

　もし安倍首相が「原発ゼロを希望している」なら、それを「政策にしない」などと言わずに、是非、それを実現する「政策」を作りこんでいただきたいと思います。圧倒的多数を占める自民党には、それが可能なはずです。

　逆にもし安倍首相が、僭越ながら私のように、「日本こそが世界で最も安全な原発を作って、世界のエネルギー事情をリードするんだ！」という夢を抱いているのなら、「本当は原発ゼロが望ましいのだが。」などというおためごかしを言わずに、正々堂々その夢を語り、実行の道筋をつけ、実現にまい進していただきたいと思います。

　「夢と希望を、政策という手段を駆使して、実現する」

それこそが、政治家、就中国家の首相の役割だと、私は思います。