ニュースの感想

 一昨日私は、普段あまりすることのない黒とグレーのモノトーンのネクタイをして、定例議会に臨みました。事実上突如泡と消え去った民進党への哀悼の意を示したつもりです。

 自民党→維新の党→(党分裂・合流により)→民進党

 と党が変わったためいろいろ言われますが、私は自分自身では、どの党もそれずれに好きで、それぞれのものを得てきたと思っています。

 私は2005年、郵政解散選挙で自民党から立候補しました。その後2009年の政権交代選挙までの4年間自民支部長として地元を回り政治活動をできたことで、保守本流の政治のあり方と手法を学ぶことができました。私を政治家として育ててくれたのは、正直に自民党であり、この時培った地方・中央の自民党人脈は、今でも私の政治的財産となっています。

 日本維新の会では、橋下さんとのTV上のバトルで誤解されているところも多いかと思いますが、「自分たちで政治を変えるのだ!」という情熱に燃えた若い多くの仲間たちと出会いました。あの情熱、あの熱気に触れる事ができたこともまた私の政治的財産ですし、当時の仲間とは、今でも連絡を取り合う政治改革の同士であると思っています(但し、これも正直に、音信不通になってしまった仲間も多数います。)。

 その後日本維新の会が分裂して維新の党となり、民進党となった事で私は民進党の支部長となりました。その時民進党は、一度も当選していない一支部長を、少なくとも組織運営上は他の国会議員と同様に遇してくれました。自民党、維新の党とも支部長から意見を聞く場はありましたが、当選していない支部長が、県連の主要メンバーとして合議体を構成し、意見を述べ、採決に参加できる政党はありませんでした。この時、地域の党員の方々やリーダーの方々、そして県連職員や国会議員の方々と知己を得、対等に議論ができたことが、私の知事選で民進党の方々から応援して頂く、非常に大きな原動力となりました。
 知事としての私を作ってくれたのは、共闘した全野党と市民の皆さん、そして応援してくれた民進党の皆さんです。

 民進党は時に、「右から左までいてバラバラだ。」と批判されました。「右から左までいる。」のは全くその通りなのですが、私はそのバラバラさが好きで、そのバラバラさこそが、民進党のいいところだったと思っています。
 私は、民進党に入る時「正当な理由があり適切な額の保障がなされることを前提に、金銭解雇には賛成です。」と述べていましたし、憲法については「現行憲法の精神を生かしより発展させる形での改憲には賛成です。」、安保法案については「現在の安保法案には問題点が多々あり廃案若しくは改正が必要と思いますが、現行憲法の個別的自衛権と同視できる範囲での集団的自衛権は容認する立場です。」と明言しましたが、全く問題視されませんでした。
 民進党には、その私の右にも左にも、多くの方がいましたが、それぞれが対等に議論できる文化がありました。

 民進党に足りなかったのは、自らの持つ魅力を認識し、批判は批判として受け止めながらしかし、自らに自信を持ち続ける自己肯定力-より卑近な言葉で言うなら「開き直り力」と、最終的な勝利を信じて一時の敗北を恐れず進む「敗北力」ではなかったかと思います。

 民進党のリーダーの方々は、皆驚くほど真面目で、「民進党はバラバラだ!」と言われた時、それを真にうけて悩み、右がいてはいけない、左がいてはいけない、どうやったらまとめられるのかと悩んでいたよう見えます。
 その誰か一人でも、「そうさ、俺たちはバラバラさ。でも、それが俺たちのいいところだ。お前たちみたいに右向け右、左向け左じゃない。それが自由主義、それが民主主義だ。うらやましいだろう。」と笑い飛ばせる「開き直り力」を持てなかったことは、残念という他ありません。

 また今回の合流劇は、色々な理由をつけてはいますが、結局のところ、出来たばかりの希望の党の勢いに気おされ、民進党の本来の本拠地である首都圏で都議会議員選挙に続いての大敗を喫することを恐れてのことでしょう。民進党のリーダーの方々はあまりに真面目で、一つ一つの敗北を深刻に悩み、交代を繰り返してきたように思います。
 4度の落選歴を誇る私に言わせれば、1度や2度や3度や4度落選しようが、最後に知事になってしまえばどうあれ知事で、落選歴はネタにこそなれ、悪く言う人などいなくなります。敗北は、それを受け入れる気さえあれば、決して終わりではないのです。
 今回の選挙でも確かに民進党は首都圏では大敗したでしょうが、北海道、東北、北陸はそれなりに勝てる算段は付いていました。首都圏での大敗を受け入れ、しかし北海道、東北、北陸を中心に勢力を温存し、捲土重来を期すしたたかな「敗北力」をなぜ持てなかったのかと、思います。

 しかし、そんな繰り言をいくら言ってみても、開き直り力や敗北力の不足をいくら嘆いてみても、事実上民進党はもうありません。右から左までが対等に議論していた虹の彼方の夢は、一夜にして潰えたのです。

 虹は、空中に浮遊する水滴に当たった光がそれぞれの色ごとの角度で屈折することによって生じます。湿気ひとつない乾いた空気の中を直進する緑一色の光に、我々は虹の彼方の希望を見出すことはできるでしょうか。 


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