活動報告

法律講座(2)

  • 米山 隆一
  • at 2015/10/19 07:00:34

 またしても橋下氏が、罵倒とともに独自の規約解釈をなさっていますので、まあこの際お付き合いということで、回答・反論します(しかし氏は、文中に必ず一つ罵倒の言葉を入れないと、文章を書けないんでしょうかね。)。

(1)今、権限のない連中がやっていることに、なんかおかしいなと感じている維新の党の国会議員への忠告。権限のないバカども国会議員の連中が、とんでもない法律論を流し始めている。なんかおかしいなと感じている国会議員は、必ず弁護士に相談しに行くこと。法律を作るのが仕事なんだからしっかりしてよ!
<回答>
 橋下氏のツイートがなんかおかしいなと感じているおおさか維新の党の特別会員、国会議員の皆さん、是非弁護士に相談に行かれることをお勧めします。橋下氏の解釈が如何に法曹界の標準的解釈からかい離した独自なものかよくわかります。

(2)まず、僕が以前言っていたことと違うじゃないか、という点。禁反言の原則。これは個人対個人や契約上の話。今回は集団内における手続きの話。僕は特別党員から全権委任を受けている立場ではない。しかも当時、執行役員でも何でもなかった。当時、国会議員が代表選において地方議員を軽視しようとした。
<回答>
 少なくとも橋下氏が、以前言っていたことと違うことを言っていることは認める趣旨と解されます。その通り。橋下氏は以前言っていたことと全く違うことを言っています。因みに現執行部は、橋下氏が何を言っていたかにかかわらず、規約がある以上有効です。過去のことを鬼の首を取ったようにいつまでも持ち出して相手の委縮を誘うのは橋下話法の代表的手法ですが、党員投票で地方議員を何票にするという提案をしたかは、本件とは関わりません。

(3)僕は後の党大会の事を考えて、代表選のルールについて変更の提案をしたに過ぎない。僕がなんと言おうと、維新の党という組織の重大な手続き違反が治癒されるわけではない。こういう思想がそもそも危険。ごく限られたメンバーだけで組織の重大な手続き違反が治癒されるわけがない。
<回答>
 橋下氏が何といおうと、手続き違反が治癒されることはもちろんありませんが、同様に、橋下氏が何といおうと、正当な手続きが違反になることもありません。橋下氏という、メンバーでもない人物が何か言えば、正当なものも違反とできるという思想は、ご指摘の通り非常に危険です。

(4)もう一つは、規約附則4条。これを、バスケットクローズ条項と読むという、トンでも法律論。憲法の緊急事態条項の議論を思い起こしてほしい。国会が内閣に白紙委任しますか?バスケットクローズも万能ではない。むちゃくちゃなバスケットクローズは公序良俗に反して無効になるのが当然の里。
<回答>
 「バスケットクローズ条項」は「包括条項」です。わざわざほとんどの人が知らない言葉を使ってけむに巻くのも橋下話法の代表的手法ですが、繰り返し、「本規約に定めのない事項について」決めているだけで、包括でもなんでもありません。また後任者が選任されない間に現代表の任期が切れたら困りますから、その対応を決めるのは、まさに附則4条の予定しているところです。逆にこの様なことも定められないなら、附則4条の意味はなくなってしまいます。

(5) 通常バスケットクローズは、詳細にルールを定め、それでもなお漏れていることがあれば、このように解決しましょう、という規定。ルール全体から見て、どのように解決すべきかだいたい分かるのが、有効なバスケットクローズ。バスケットクローズは白紙委任ではない。
<回答>
 おっしゃる通りです。橋下氏が作られた規約に、後任者が選任されない間に現代表の任期が切れたらどうするか決めていないという孔があったので、「引き続き前任者が職務に当たる。」としただけです。まさに附則4条の予定している通りの解決です。

(6)維新の党の国会議員よ。権限のないバカども国会議員に騙されるな。規約6条2項をしっかり見よ。「党大会はその他の重要な事項を審議し決定する」としっかり明記している。代表が任期切れとなってしまった場合に、代表を選出することは重要な事項に他ならない。
<回答>
 附則4条の包括性は否定しながら、こちらは「重要な事項」と書いてあるだけでいきなり「代表が任期切れとなってしまった場合に、代表を選出することができる!」とするのはダブルスタンダードだと思いますが、いずれにせよ、党大会で代表を選出できるからと言って、附則4条で、後任者が選任されない間に現代表の任期が切れた場合の規約を定められない根拠にはなりません。
 尚、全く「維新の党」とは関係のないものですが、この度橋下氏らが開催すると主張しているものは、「臨時党大会(特別党員のみ。党員は含まない)」であって、「党大会(党員・特別党員)」ではありません。

まだまだ続いていたので追加します。

(7)つまり規約6条2項において党大会にも「その他重要事項を決めることができる」、とバスケットクローズ条項が定められている。そしてバカども国会議員連中が最後の拠り所としている規約附則4条は、規約に定めがない場合には執行役員会が決めることができる、となっている。まずは規約だ。
<回答>
 そうですね、両方決められていますね。従って両方決められると考えるのが普通でしょう。どちらを先に使うべきかは状況によるわけで、「まずは規約だ」とする根拠は皆無です。党大会の開催には時間がかかりますし、代表は1日でもいなくては困ります。繰り返しですが附則4条で任期切れ後の代表の職務執行を決めるのは何の問題もありません。

(8)代表選出なんて、明らかに組織の重大事項。そうなれば規約6条2項に基づいて党大会で審議し決することは当たり前。こうなるとバカども国会議員が頼りにしている規約附則4条の出番はない。他の政党も規約附則4条のような規定があるとバカども国会議員は言っているらしい。
<回答>
 「規約附則4条の出番はない」の根拠が皆無です。繰り返しですが、両方規約にある以上、両方決められると考えるのが普通です。

(9)他の政党に同じような規約があるから、というのはいかにも官僚答弁そのもの。維新の党は、完全に官僚グループとなってしまった。他の政党でも、今回の維新の党の騒動と同じことが起きれば、このようなバスケットクローズ条項はおかしい!!という声が上がるよ。他の政党がどうのこうのは関係ない。
<回答>
 おかしいかおかしくないかの橋下氏の価値判断は価値判断として、現に規約に条項がある以上それは有効です。

(10)維新の党のまだ迷っている国会議員へ。規約6条2項と規約附則4条を、よくよく見比べよ。代表の任期が切れ、代表選も行うことができず、党大会の召集権者もいない場合に、代表を選出するのは、執行役員会か党大会か。規約6条2項に基づいての党大会に決まっている。重要でないことは規約附則4条だ。
<回答>
 何が重要で何が重要でないかは、橋下氏の独自解釈で根拠はありませんが、橋下氏の主張を前提としても、「後任者が決まっていないうちに前任者の任期が切れた場合は、前任者が引き続き職務に当たる。」は、通常の感覚なら、さして重要でない(他にやりようもないことですから)、補足的規定だと考えるのが普通でしょう。

(11)維新の党の集団は原理原則をしっかりと頭で考えることなく、文言を都合の良いように解釈する官僚集団になってしまった。バカども国会議員は規約附則4条、規約に定めのないことは執行役員会で決する、だけを頼りにしている。僕の論は、権力分立論。
<回答>
 維新の党の国会議員の方々がどう考えているかはわかりませんが、党の規約の解釈に、何故国家の「権力分立論」が関係あるのか全く分かりません。

(12)維新の党のバカども国会議員よ。規約の文言だけでやるなら、それでも良いけど、あんたがたのバカっぷりが天下に晒されるよ。規約6条2項を、もう一度じっくり読み直せ。党大会は「その他重要事項を」決定する、となっている。代表選出は重要事項にほかならないだろ?
<回答>
 代表選出は重要事項でしょうし、党大会でそれが決められるであろうことに誰も異論を唱えていませんが、それと附則4条の解釈は関係ありません。

(13)そうすると、代表選出は、規約6条2項において、党大会で決定すると明記されている。これで維新の党のバカども国会議員が頼りにする規約附則4条の出番はなし。ハイ、決着。重要事項は規約6条2項で党大会が決め、その他細かなことは規約附則4条で執行役員会が決める。権力分立論から当然の定め方。
<回答>
  「規約6条2項に党大会が重要事項を決めると書いてある。」→「代表選選出は重要事項だ(解釈)」→「代表選出は、規約6条2項において、党大会で決定すると明記されている。」と言い切れる論理構造が理解できません。間に解釈部分が入っていますので、明記はされていません。
 「規約附則4条の出番はなし」の根拠がまるで示されていません。同じ事項について、それぞれが決められる(どちらが決めてもよく、いずれでも最新のものが優先される)とすることは何の問題もありませんし、それが普通です。繰り返し、党の規約の解釈に、何故国家の「権力分立論」が関係あるのか全く分かりません。

(14)維新の党のバカども国会議員は、自分の立場を守るために自分の都合の良い文言しか見ない。官僚的発想そのもの。文言じゃなくて権力分立論から原理原則を考えれば、文言に拘泥しない。維新の党のバカども国会議員は規約附則4条しか見ていない。規約6条2項の存在は全く頭にない。維新の党はもうダメだ
<回答>
 繰り返しですが、規約6条2項と、附則4条のどちらも定めることができ、最新のものが優先されるということで、何の問題もありませんし、それが普通の解釈です。
 始まってもいないのに恐縮ですが、規約を言葉通りに解釈せず、特定の誰かが、「権力分立」みたいな関係性のわからない大概念を持ち出して「文言に拘泥せず」何でもかんでも好きなようにきめるということなら、おおさか維新の党は今からだめだと思います。

 現時点で、さらに橋下氏の追加のツィートがありますが、罵倒が新しくなっているだけで主張自体は同じことの繰り返しのようですので、敢えて反論はしません。ネタ切れというところでしょうか。


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コメント

橋下市長の感情的?なツイートに対する冷静な反論、ありがとうございます。勉強になります。たしかに、代表の選定は、規約6条2項の「その他の重要事項」に含まれるような気がしますが、他方、附則4条の「本規約に定めのない事項」にも含まれるのでしょうか。規約7条と合わせて読むと、執行役員会には、「その他の重要事項」について自ら決定する権限が与えられていないような気もしてよく分からず、コメントいたしました。
また、もう一つよく分からなかったのは、除名の件です。除名は、代表が行ったのでしょうか、執行役員会が行ったのでしょうか。規約を見ると根拠がないようにも思いましたが…どう考えるべきでしょうか。

  • Posted by kaz
  • at 2015/10/19 20:46:01

kaz さん、コメントありがとうございます。

 執行役員会で新代表を選任したら行きすぎだと思います。ここは誤解がありますが、新代表を選任しているわけではなく、執行役員会は、「後任者が決まらないうちに前代表の任期が切れた場合は、前代表が引き続き代表としての職務を遂行する。」という規定若しくは合意を下にすぎません。同様の規定は憲法にも会社法にもありますし、何よりこの規定がないと政党として困ってしまいますので、そのような規定を作る権限は附則4条によって与えられていると考えて何ら問題はないと思います。
 除名は、正直プロセスがあまりわからないのですが(僕は除名の対象になっていないので-苦笑)党紀委員会に諮ったうえで、執行役員会が行っています。規定は規約24条にあります。尚、現在除名通知が届いた地方議員の方々には、「異議申立書」も同封されており、期限までに返信があり、「おおさか」に参加しない等の条件が満たされれば、除名は撤回されるとのことです。従って、異議のある方は、是非異議申立書をご返信いただきともに党の再建に力を尽くしていただければと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。

  • Posted by 米山隆一
  • at 2015/10/19 21:15:55

一見、正しそうに見えますが、取締役会で一方的に任期延長を決めた場合、通常、合併であったり、大量のリストラといった重大事案に対する決定、行動が容認されるということとは異なると思いますが。任期延長したのであれば、追認されることは必要な作業だとも思います。また除名に関しても、戻らないことを条件に復党させる、という何を根拠に除名したのか理解できない行動を取っていますが、国民に選ばれた議員の身分と将来の選択を縛る権利が党にはあるのでしょうか?であれば、他党にいかないことを条件にしなければ、理解ができません。当然、民主党に行かないこと、くっつかないことも同義だと思います。

  • Posted by かん
  • at 2015/10/20 10:47:56

米山先生の説ですと「後任者が決まらないうちに前代表の任期が切れた場合は、前代表が引き続き代表としての職務を遂行する。」という規定若しくは合意を下にすぎません。同様の規定は憲法にも会社法にもありますし」とありますが、会社法では株主総会の議決で定款変更により取締役の任期の延長が可能と記しているだけと存じます、取締役会の議決で取締役の任期の延長可能とする条文あるのでしたらご提示願います。

  • Posted by 田北雅夫
  • at 2015/10/21 11:01:38

追伸。米山先生の仰る会社法の条文は
 会社法 
第三百五十一条 代表取締役が欠けた場合又は定款で定めた代表取締役の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した代表取締役は、新たに選定された代表取締役(次項の一時代表取締役の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお代表取締役としての権利義務を有する。だと思いますがこの条文は前任者が故意に株主総会開催しないような悪質な場合には当然適用されません。党員有志による 党大会開催要求を拒否したのは松野さんでしたね、又この規定が政党に類推されるというのは米山先生の独自の見解と存じます。いかがお考えですか。

  • Posted by 田北雅夫
  • at 2015/10/21 11:15:32

 ご多忙のところ、早速お返事を頂き大変ありがとうございます。お礼が遅くなり失礼いたしました。
 執行役員会は、新たな代表の選任を決めたというより、後任者が決まらないまま前代表の任期が切れた場合に前代表が職務を継続すること、つまり、9月末に任期が切れた松野さんが10月以降も代表として職務を継続することについて決めたということなのですね。そのような事柄ならば、代表を不存在にしないようにする必要性の点からも「本規約に定めのない事項」に含まれると考えるべきように思います。勉強になります。(私の理解が追いついていないようでしたら申し訳ございません)
 除名の件についてもご指摘ありがとうございます。24条を見落としていました。個人的には、もし問題にされるとしたら、代表の在任期間延長中に多くの除名処分を行った手法なのかもしれないという気もします。(異議申し立ての期間を設けているという点は、一定の配慮がなされていると評価されると思いますが…。)
 私自身、維新を支持してきましたが、恥ずかしながら今回はじめて規約を読み、橋下市長の主張とそれに対する米山様の記事・コメントのおかげで理解が深まりました。今回の騒動については複雑な思いもありますが、今後も、大阪(東京以外の地方)と日本の再生に向けて頑張っていただきたいです。陰ながら応援しております。どうかお体ご自愛下さい。

  • Posted by kaz
  • at 2015/10/22 08:04:07

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