ニュースの感想

尖閣問題が突きつける平成の現実

  • 米山 隆一
  • at 2013/1/10 06:35:31

 一昨日中国艦船4隻が尖閣諸島周辺の日本の領海内に侵入したのち、13時間後に領海外に出たとの報道がなされました。今回に限らず、中国の領海・領空侵犯は何度となく繰り返されています。

 この尖閣問題については、これを「民主党政権の弱腰外交」によるものだとして、自民党政権に武力行使に近い強硬策を求める意見と、これと全く逆に「原因は日本側にある」として中国への宥和姿勢を求める意見とが、対立しています。

 私は、そのどちらもが、当を得ていないと考えます。民主党政権だろうが自民党政権だろうが、政府が弱腰だろうが強腰だろうが、中国は自らの世界戦略に基づいてひたすらに領土拡張を希求し、尖閣への侵害行為を繰り返すだろうと考えるからです。

 アメリカの覇権が確立し、東西対立の均衡構造の中で、日本の平和が守られる時代はすでに終わり、中国とアメリカの世界覇権をめぐる対立を軸として、複数の国家が地域覇権をめぐって争う時代が、おそらく現在は訪れています。中国はなんであれ尖閣を紛争化し、なんであれ「けんか両成敗」的に少なくとも尖閣の権益の半分を得ようとするでしょう。
 
 日本が中国に宥和的態度を取ったからといって中国の態度が軟化することがないのは勿論ですが、同時に、尖閣に公務員を常駐させようが、尖閣周辺に機雷を敷設しようが、中国艦船の一隻ぐらいに実弾を発砲して場合によっては浸水位させてみようが、おそらくそれで中国の侵害行為がなくなるということはなく、結果はほとんど変わらないでしょう。

 ではどうしたらよいか?応えはおそらくたった一つで、「中国機が領空侵犯をするたびにスクランブルをかけ、中国艦船が領海に入るたびに海洋巡視船でも駆逐艦でも派遣して、放水でもしながら領海外に追い出す。」ということを、10年でも20年でも延々とやり続けて、自らの手で領土領海領空を守るしかないのだということだと思います。防衛においても、「一手」で国を守れる時代は終わり、「継続的努力」が必要な時代が訪れているのです。
 思えば国境を持つほとんどの国は、そういう不断の「継続的努力」で国を守っています。「国境は何もしなくても守られる」というのは、海に囲まれた日本の、しかも東西冷戦という特殊な時代の、一時的幸運にすぎなかったのではないでしょうか。

 となれば、必要なのは、自衛力の「継続的増強」で、防衛費の増額を決めた安倍政権の方針は非常に正しいと、私は思います。
 しかし同時に今の日本では、「社会保障費」「少子化対策費」「エネルギー政策費」「競争政策費」等々、「時代の要請」によって、今までとは異なる「継続的費用」を要するものが目白押しです。安倍政権は、「支出の拡大」「負担の削減」のみを次々と打ち出していますが、日本は本当にこれらの政策を「継続」できるのか、本当に「時代の要請」に応じてお金を払い続けることが出来るのか、もし応じられないなら、「時代の要請」に応じた「継続的」「支出の削減」「負担の増加」も正直に国民に説明して理解を求めるべきではないのか、真剣に考えるべき時に来ていると、私は思います。


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コメント

連続のコメントで恐縮ですが、今回の米山さんの記事は、全くその通りだと思いますので賛同の意を表明させていただきます。

最後の一文も全くその通りだと思いますが、そのためには先ずやっておかなければならないことがあると思います。

言うまでもないと思いますが、日本人が、愚民政策や日教組のような勢力によって成されたマインドコントロールから覚め、甘ちゃんを脱皮して、まともな対外感覚を身に付けるようになってもらうことです。


あまり時間がある話ではありませんが、そうせずに説明しても、まともな判断をできない方々がどこかの党のお花畑的な戯言に踊らされてしまうというようなことになりかねません。

中国の自治区になったらどうなるのか・・・、ぞっとします。
一方でアメリカの51番目の州になるのも甘い生活とは言えないでしょう。
日本はこれからも独立国の道を歩むべきだと思います。

そうそう、対外的な国防だけでなく、国内にある日本潰しの勢力からの国防もしっかりしなければなりません。
外国人に参政権を与えようとしている勢力などは正にそれだと思います。

新潟県選出の国会議員でも、元民主党の森ゆうこは「外国人参政権の積極的賛成派であるのみならず、被選挙権まで認めるべきとの立場をとっている。(Wik)」ということですから要注意です!。

  • Posted by 阿部伸一
  • at 2013/01/10 19:27:04

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