ニュースの感想

郵政民営化見直し閣議決定と西川社長辞任

  • 米山 隆一
  • at 2009/10/21 07:58:16

 民主党政権が郵政民営化見直しを閣議決定し、西川社長が辞任を発表しました。

 これに関しては私は絶対に反対です。これは別段自民党だからとか、小泉路線だからと言うことではありません。「郵政民営化を見直す」理由が全く分からないからです。

 そもそも自民党からしてですが、ここのところ声高な「郵政民営化見直し」論議は、「郵政民営化の何処がどう悪いのか、そこを直すとどういう良いことがあって、どういう悪いことがあるのか、又その問題点を直すのに本当に民営化そのものを見直すことが必要なのか」という議論が全く置き去りにされて、ただ単に「小泉改革が格差を広げたから」というような極めて漠然とした、しかも基本的には郵政民営化と関係ない文脈で語られているように思われます。
 しかし、民営化後4年、何か困ったことがあるかと聞かれて、具体的に答えられる人はまれでしょう。私が感じる変化は、「郵便局のサービスがちょっと良くなったかな」ぐらいのことです。因みに民主党は「一部地域で住民サービスの低下がある」としています。確かに我が五区でも「郵便が届くのが遅くなった」という声が聞かれる地域はありますが、今時急ぎの用件には電話もFAXもメールも、宅配便もあります。多少不便だけれど、それですごく大変だという話は、聞いたことがありません。この程度の不便を打ち消すために莫大なお金をかけて郵便局を全国津々浦々で維持しなければならないとすることには、かなりの無理があると思います。
 だいたい、民主党は、郵政見直しに限らず何かと「総ての人が、完全に同じ満足を受けられなければならない」と言う哲学で政策を立案しているようですが、95兆円の予算から明らかなように、そんなことをすれば必要経費は何処までもふくれあがります。限りある資源を有効に使うためには、「効率」という視点を欠かしてはいけないのだと言う当たり前の原則に、是非目を向けていただきたいと思います。「効率追求→弱者切り捨て!」と言う発想は、今時社会主義国の中国でも失笑を買います。

 更に、「郵貯・簡保・郵便を一体として運営して郵貯・簡保には銀行業法・保険業法と異なる規制を導入する」「郵便局を弱者保護や格差是正の拠点にする」に至っては、「理由が分からない」どころか、「絶対にだめな理由があるから、絶対にやめろ」と申し上げたいと思います。これは結局の所、「郵貯・簡保で儲けたお金を、郵便事業や、はては『弱者保護』『格差是正』につぎ込む」と言うことです(そうしないなら、銀行業法・保険業法の適用を外す必要がありません)。それでは、郵便貯金を次々と非効率な官営事業に融資した時代と全く変わらないどころか、融資ではなく直接つぎ込める分だけより悪くなります。そしてそれは結局の所、「郵便貯金・簡保生命の収益という名の『税金』を国民からとって、『弱者保護』『格差是正』政策を行うと同時に、それに必要な公務員を養う」事に他なりません。

 民主党は盛んに「無駄遣いの削除」を喧伝しています。しかし、自民党が作った無駄遣いを削除したその後に来るのが、「公費のばらまき、末端公務員の拡大、官業の肥大」によるより壮大で削除困難な無駄遣いになるのでは、何をしているのか全く分かりません。日本の将来のために、民主党には是非目を覚ましていただきたいと思います。


  • コメント (8)
  • トラックバック (1)
トラックバックURL :
http://www.election.ne.jp/tb.cgi/80504

コメント

>「効率追求→弱者切り捨て!」と言う発想は、今時社会主義国の中国でも失笑を買います。

その失笑を買うような政策を執ったのが小泉・ケケ中改革なワケで…。

>これは結局の所、「郵貯・簡保で儲けたお金を、郵便事業や、はては『弱者保護』『格差是正』につぎ込む」と言うことです

うん、ちょっと古いけどこんな記事がある。

(2009/09/09-18:33)・時事
動きだす郵政民営化の見直し=国民新を含めた連立合意で-新政権
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200909/2009090900789
>収入の約8割を両社からの手数料収入に依存する郵便局会社

ゆうちょ&かんぽ無しにはやっていけません><
というのが本音でしょうね。

まあ、全特に支持されて当選したんだから、見返りに便宜を図るのは当然でしょう。
民意ですからしょうがないですよね~。

…って、んなワケあるか!(笑)

>民主党は盛んに「無駄遣いの削除」を喧伝しています。

そもそも削られた補正予算は全て無駄だったのだろうか?
そこから検証すべきであり、かつ自民党は先ずそこから反撃すべきと愚考します。

  • Posted by 石器
  • at 2009/10/21 20:04:41

郵政民営化は、根拠の無い改革でした。その他、市場原理主義の政策は、日本を縮小させるという、売国の傾向がありました。事実、日本のGDPは、マイナス6%で、破滅的な状況にあります。市場原理主義の動きは世界中で是正されつつあります。

  • Posted by Orwell
  • at 2009/10/22 23:40:01

米山さんは御存じでしょうか?年次改革要望書というものがあります。宜しければ以下のリンクをお読み下さい。
http://c3plamo.slyip.com/blog/archives/2008/11/2009.html
http://www.news.janjan.jp/government/0901/0901246070/1.php
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%BE%E6%97%A5%E8%A6%81%E6%9C%9B%E6%9B%B8

これは米国政府が自国の国益の為に日本政府に要求として突きつけてくる無理難題です。自民党政権はこの要求を次々と飲んで実行してきました。郵政民営化もその一つであり、背景には、郵便局の売る簡易保険があまりに競争力が強いため、米国の保険会社が郵便局を弱体化させることを米国政府に要望したことがあります。郵政民営化は日本の為ではなく、米国の国益のために実行されたと言うことです。

もっといえば、米国が日本を仮想敵国視しはじめた1980年代以後の日本の首相で長期政権となったのは中曽根と小泉の二人で、彼らは米国の要求をどんどん受け入れたが故に長期政権となったのだと言われています。それ以外の首相たちがいずれも短命だったのは、政権を投げ出すことで米国の無理難題を次の政権に先送りするという形で対処してきたからです。小泉以後の福田・安部・麻生の三首相もその例に漏れません。

米山さんには真の保守政治家としてこれから頑張っていただきたいと私は考えているのですが、それ故に、今回の記事について残念に思うのです。米国がバブル崩壊で弱体化し世界が多極化し始めた今こそ、米国の国益のために日本が歪められてきたことを見直していく姿勢が必要だと思います。

  • Posted by 年次改革要望書について
  • at 2009/10/23 20:45:30

マ、マイナス6%?!
GDPが30兆円以上減るわけですか…。

凄まじいなあ(棒読み)。


年次改革要望書は市場原理主義の押し売りですね。
要するに、自分達のやり方は素晴らしいから日本もやれ、と。
キリスト教の布教活動と何が違うのかな?

押し付けられてもメーワクですよっと。

  • Posted by 石器
  • at 2009/10/24 21:00:46

「石器」さん、「Orwell」さん、「年次改革要望書について」さん、コメント有り難うございます。

年次改革要望書は割と誇張されて「陰謀論」に使われることが多いと思うのですが、私はこれがそれほどものすごい物とは到底思えません。正直書かれていることは、割と当たり前に「日本経済の問題点」として指摘されがちなことであって、例えば経済学部の学生に「日本経済の改革の論点を書きだせ」と言ったら、だいたいこんな内容になるのではないかと思います。従って普通に経済の改革をする限り、誰がやっても内容の一部は重複してしまうと思います。

「郵政民営化」もまた極めて誇張されて陰謀論に使われていると思うのですが、実際問題、民営化されたからといって、郵便局にお金を預けていたおじいちゃんおばあちゃんが、いきなりシティバンクに預金をするものでしょうか?また簡保をいきなり解約してAFLACに申し込んだりするものでしょうか?また仮に本当にそうするのだとしたら、それはシティバンクやAFLACに負けるような商品を提供している郵貯や簡保の責任であって、国有化したかどうかのせいにするのはお門違いな気がします。

又、「市場原理主義」という言葉も随分誇張されていると思うのですが、これが一体具体的にはどの政策を指すのか、分かって使っている人は殆どいないように思えます。小泉政権下で基本的にはGDP成長率は上昇し、「市場原理主義」を否定した(何を否定したのか正直よく分からないのですが)麻生政権以降マイナスです。ここから導き出される結論は、普通に、「経済改革は景気を良くする効果がある。但し経済はグローバル化したので、国内でどの様な政策をとろうが、あまり関係なく世界の景気の影響を受ける」ではないでしょうか。

陰謀論によって総てをアメリカ、小泉政権、市場原理主義のせいにすれば気は楽になると思うのですが、それは真に取り組むべき問題から目を背けるだけの行為ではないかと、私は思います。

  • Posted by 米山 隆一
  • at 2009/10/26 00:38:02

市場原理主義の何が悪いのでしょうか?

自由資本主義の最も公平な指針が市場に有る以上、自由公平な競争は好むと好まない関係無く市場原理の中でのみ成立するのは自明の理なのではないでしょうか?

情緒を全否定する気は無いが、感情や情緒で日本的経済スタンダードを作ろうとしている現政権と、付和雷同している「小泉改革は間違いでした」とのたまう(小泉選挙で「改革やります」と断言していた)自民党の方々が全く無責任な浪花節じゃ・・・。

「経済合理性や経済成長率に偏った評価で経済をとらえるのは止めよう」
鳩山さんの言っている事の意味が分かりません。

合理的に成長しないで、日本ローカルルールでも作って成長気分だけを味わうのでしょうか?
合理性も成長も二の次で、全体を底下げすれば相対的に格差が縮まるって事でしょうか?

日本の勝ち抜くべき国際競争は何だかんだ言っても市場原理の中での競争です。

崩壊した共産主義国や社会主義国と同じ方向性の経済政策を「友愛」だなんて・・・。
建前や情緒で経済政策打たれたら、まともに頑張る人間が馬鹿をみます。

市場原理主義の何が、どこが悪いのでしょうか?
最もフェアではありませんか!

  • Posted by noriyuki
  • at 2009/10/26 21:47:15

2009/10/26 00:38:02
米山 隆一氏

>市場原理主義

要するに「経済活動は市場に任せて政府は口出しするな」「官は民業を圧迫するな」って事でしょ?
だったら、郵便事業『だけ』国営に戻しちゃえば良い(笑)。

因みに市場原理主義を必要以上に批判しているのは鳩山さんですね。
根底には自民党政治を否定して自らの政治との差別化を謀りたいという思惑があるのでしょうが…。


>小泉政権下で基本的にはGDP成長率は上昇し

以下に示す通り、減っています。(※1,2)
(GDPが若干の成長に転じたのは、日本人の個人消費の増加と外需の伸びによるもの。※2)

>経済はグローバル化したので、国内でどの様な政策をとろうが、あまり関係なく世界の景気の影響を受ける

つまり、経済成長と『改革』は関係ないという事です。


>経済改革は景気を良くする効果がある。

本当に改革が景気を良くしたのか、資料を示しますので詳しく検証しましょう。
(続く)

  • Posted by 石器
  • at 2009/10/27 02:49:32

石器さん、コメント有り難うございます。

続きはあまりにも長く、又議論を深めるための物ではなく単に自説を述べているだけの物だと判断いたしましたので、非公開とさせていただきました。以後、断り無く非公開とさせていただきますのでご了承下さい。

  • Posted by 米山 隆一
  • at 2009/10/31 23:14:29

トラックバック

郵政の新しい社長が、天下り、渡りの達人「齋藤次郎」さんに決定しました会社の昼休み

エレログTOP | エレログとは | 運営会社 | 免責および著作権について | お知らせ

政治家ブログ”エレログ”地方議員版ができました。参加お申し込みはこちらから

政治家専門サイト ele-log 国政版 お申し込み 政治家専門サイト ele-log 地方版 お申し込み
国会議員、都道府県知事、市区町村長、都道府県議、市区町村議、および立候補予定者専用

Copyright by Promote committee of Online-Election.,2001-2007, all rights reserved.
ele-log and the ele-log logo are registered trademarks of
Promote committee of Online-Election