ニュースの感想

 ガソリンの暫定税率の再可決を目前に、原油高が続いています。現在1バレルの値段は120ドルに迫り、安定の気配は見えません。近い将来原油が1バレル200ドルとなる事態も、考え始めなければならないのかもしれません。

 現在原油を始め多くの資源、食料が高騰しています。その原因として資源そのものの枯渇と新興国の需要増があげられています。これらが資源高の原因であることはもちろん間違いありませんが、実のところ複数の国際機関が、原油をはじめとする資源、食料の受給それ自体は短期的にはそれほどタイトでないことを指摘しています。資源高の最大の原因は、おそらくはこれを買う道具である、「マネー」の増大であると、私は考えます。

 資本主義の発展は、本質的に「信用創造」を必要とします。また逆に資本主義の深化は、「信用創造」の増大を不可避的に伴います。今世界で起こっているのは、中国・ロシア・インド・ブラジルといった新興国での資本主義の発展に伴って、飛躍的に流動性が増えた状態、かつては比較的安定的に管理されている「ドルと円とユーロ」だけだった世界のマネーに、ほとんどアンコントローラブルに増大する「元・ルーブル・ルピー・レアル」が加わって、世界中の通貨供給量が爆発的に増大している状態だといえます。
 そうだとすれば、今現に生じているのは、「世界的インフレーション」に他ならないと言うことになります。勿論インフレーションが激しさを増せば各国は利上げでこれを抑えようとするでしょうが、現在の流動性の増大がおそらくは単純な「貸し出しの増大」に基づくものではなく、「信用創造の仕組みの深化」に基づくものである以上、これを有効に抑えることは困難でしょう。この「世界的インフレーション」は相当に長い期間にわたって、続くものと考える必要があると、私は思います。

 では、日本としてこれにどう対処すべきでしょうか?「世界の通貨供給量の増加」をとどめる手段がないとしたら、対抗策はただ一つ、「日本も高い通貨供給量を維持し、世界の中でのシェアを維持すること」のみです。現在すでに低金利である事と為替への影響を考えると、金利を下げることでこれを実現することは難しいでしょう。結局取り得る唯一の策は、「景気の拡大」による通貨供給量の維持だと思われます。抜本的な医療福祉制度改革で弱者保護に万全の対策を講じた上で、中途半端な状態で停滞している経済改革に、全力で取り組まなければならない時にきていると、私は思います。


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コメント

原油高、いつまで続くのでしょうか。
いろいろな物が高くなって困ってしまいます。

クルーグマンは価格上昇にも関わらず、在庫が増加していない(むしろ史上最低水準にある)ことからコモディティ高は投機ではなく、需給によるものである可能性が高いと論じていますね。

またインフレ率=実質GDPの伸び/通貨供給量の伸びに近似できることおよび現在のBRICSのインフレ率が比較的コントロールされていることから考えるとBRICSの通貨供給量はアンコントラーブルなのではなく、実質GDPの伸びを反映したものと考えられます。

結論としては米山先生に大賛成で、日本はいますぐ財政拡大政策を採り日銀に引き受けさせることでデフレを収束させ、景気拡大を図るべきと思いますが、この政策は当然日本国内におけるインフレ率を上昇させる方向に働くでしょうね・・・。

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