ニュースの感想

道路特定財源について2

  • 米山 隆一
  • at 2008/3/18 14:08:18

 私のブログの記事「道路特定財源(http://www.election.ne.jp/40/38336.html)」について「通りすがり」さんからコメントがありました。回答が長くなりましたので、改めて新たな記事としてアップいたします。

===以下、回答です===
 通りすがりさん、コメント有難うございます。ちょっと論旨がはっきりしないのですが、基本的に通りすがりさんの質問は、

1.そもそも期限切れを迎えることが分かっていた暫定税率を組み込んだ予算を組むことそれ自体がおかしいのに、既に予算が組まれていることを理由に暫定税率の延長を求めるのは筋違いである。
2.中止により無駄が生じるかどうかそもそも怪しいし、無駄が生じるとしても、その無駄を理由に無批判に「延長」を繰り返す姿勢が、より大きな無駄を生んでいる。

かと思いますので、それぞれ分けて回答いたします。

1. について

 先ず「そもそも期限切れを迎えることがわかっていた暫定税率を組み込んだ予算を組むことそれ自体がおかしい」については、「理屈としてはそのとおりですが、流石に地方自治体に、特定財源の期限切れを想定して予算を立てろというのは無理でしょう」が私の答えになります。

 ご存知のとおり、この参議院議員選挙までは、与党は衆参両院で過半数を占めていました。その与党が暗黙のうちに「暫定税率は延長」を示唆していたのですから、地方自治体の首長達が、そう考えるのは当然でしょう。また「参議院後は野党が過半数を取っていたのだから、このような事態を想定して予算を組んでおくべき」と言うかもしれませんが、本来衆議院の優越を定めた2/3条項を使えば与党はどのような法案も可決できるはずです。これまた首長達が、「暫定税率法案は当然2/3条項で可決される」と考えても、無理はありません。首長達にしてみれば、「自民党がこんなにも不手際であることを予想できなかったことを責められれば反論できないが、そんなことを言われても困る。」と言いたくなるのではないでしょうか。
 何より、「筋違いであることの責めは負うけれど、だからと言って歳入欠陥が生じることに違いは無い。われわれを責めるなら、その歳入欠陥にどう対処すればいいのか教えて欲しい」と言うのが、首長たちの本音ではないでしょうか。

2. について

 これも反論は1.とほぼ同じになります。「継続を絶対条件とした制度運営」が無駄の温床であったことにはまったく反論の余地が在りません。しかし無駄の温床であることを認めようが認めまいが、「突然の停止」を行えば、その弊害は必ず起こります。途中で途切れてしまった道路は、何の価値も生み出さないまま、管理コストだけを食い続けます。公共事業で業者の方々を養うような制度が望ましくないのが事実だとしても、それを突然止めれば、ほぼ間違いなく倒産が相次ぎ、地域経済の崩壊と数多くの個人的不幸をもたらします。その後始末に結局のところ多額の税金を投入せざるを得ないことになり、いったい何のために制度変更を行うのかまったく分からなくなってしまいます。

 結局のところ、現在の制度に問題があるからといって、次の制度も考えずに「現行制度の突然の停止」を主張することは、その弊害が「今」のものか「未来」のものかの違いはあるにせよ、「避けられない弊害に目を瞑っている」点で、現行制度の無条件の存続を唱えることと、何ほども違わないように私には思えます。今必要なのは、「今生じている無駄を、最も効率的に減少させるあらたな手順は何か?」を考えた議論あると、私は考えます。

 「では、おまえ自身には、何か案はあるのか?」となると思いますが、私は、党の方針とは食い違いますが、3-5年後の一般財源化、それも国庫への組み入れでは無く、「投資的経費」として地方自治体に使途を委ねる「地方投資特別財源化」を提案したいと思います。  
私は今の日本にもっとも必要なのは、「投資による経済の再生-なかんずく地方経済の再生」であると考えています。もしその地方にとって道路投資がもっとも必要であるなら、その投資は正々堂々と行われるべきでしょう。しかし、たとえば、道路は既にあり、「企業減税によって企業誘致を行いたい」と考える自治体があるなら、その自治体は道路特定財源を原資として、企業減税を行うべきでしょう。「教育投資こそが、競争力の源泉」と考える自治体は教育投資に、「医療福祉分野の投資による住民生活の向上こそが、最終的には自治体の経済活性化につながる」と考える自治体は、医療福祉分野に投資を行うことに、大きな不都合はないと、私は思います(「ガソリンから取った税金だから道路でなければならない」というなら、「道路はこんなに産業・生活に役に立つ」と言う論理そのものが破綻します)。 こうすることで、道路が必要と考える自治体は道路に、それ以外のものに投資したいと考える自治体はそれ以外のものに投資することが可能となります。使途は地方自治体の議会でチェックされますから、現在よりは無駄遣いの可能性は減るでしょう。国道、高速道路等国家として行うべき部分もありますが、それはそれで「国の投資財源」として保持し、国会で道路に使うか他の投資に使うかを議論すればよいでしょう。

 結局今の道路特定財源の最大の問題点は、「ガソリンから税金を取って道路に使う」事それ自体にあるのではなく、「それがいったんすべて国土交通省の管理下に入り、許認可がすべてここに集中し、それが利権の温床となっていること」と、「地方ごとの違いをすべて無視して、全国一律に同じ様に道路に投資が行われている」事の二つにあるのであって、この点を改めることこそが、問題の本質であると私は思います。そして改める際には、現実考えて、最低で3年、望ましくは5年程度の緩和措置をとって徐々に行うのが、現実的であると私は考えます。

 繰り返しになりますが、ただ「今すぐ止めろ!」を繰り返すことも、ひたすら「何がなんでも10年継続!」を繰り返すことも、その政策により相当な無駄が生じることを無視している点で大差ないように思えます。私の案はもちろん拙い試案に過ぎませんが、その試案ですら、地方交付税の交付方等、細部をつめた現実的案にするには多大な時間がかかることは想像に難くありません。与野党協力して、時間をかけて、現実的で、最小限のコストで最大限の利益が得られる方法を、話し合うべきときにきていると、私は思います。

 


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