3期12年の総括と御礼

  • 菅家 一郎
  • at 2011/8/06 15:26:01
はじめに、3月11日に発生した東日本大震災で不慮にして亡くなられた多くの方々に深甚なる哀悼の意を表するとともに、被災されました方々に心からお見舞いを申し上げます。
 本市におきましても多くの被害が発生し、誠に残念ながらお一人の尊い命が犠牲になられました。謹んでお悔やみを申し上げ、ご冥福をお祈りいたしますとともに、今なお不自由な生活を余儀なくされている方々に心からお見舞いを申し上げます。
 さらに、本市に避難された方々に、温かい手を差し延べ、懸命なる人的物的、支援協力を提供されている多くの市民の皆様に対し、心から感謝を申し上げます。
 市といたしましては、被災後直ちに、私を本部長として『災害対策本部』を設置し、被害状況の把握や避難所の開設、ライフラインの復旧に向けての対策を連日24時間体制により、全力で対応してまいりました。
 私たちは今、“世界最大級の震災”というかつて経験したことの無い難局を迎えております。市民の皆様におかれましては、様々なご不便、ご苦労をおかけしておりますが、 市民生活への影響を最小限に食い止めるべく、今後とも全庁一丸となり全身全霊取り組んでまいりますので、市民一致協力のもと、一刻も早い「復旧・復興」に向け、皆様お一人お一人のご理解とご尽力、ご支援とご協力をよろしくお願い申し上げます。
 さらには、大熊町をはじめ、本市に避難された方々に対する最大限の人道支援を積極的に進めて参りたいと存じますので、更なるご支援とご協力を重ねてお願い申し上げます。
 さて、東日本大震災の影響により、特例で8月6日まで延長となりました私の任期も残すところあと僅かとなりました。ここで、 市民の皆様に対しまして、これまでの総括と御礼のごあいさつを申し上げたいと存じます。
 私は、平成11年の市長就任以来、一貫して市民が主役の公平・公正な開かれた市政運営を基本とし、市民とのパートナーシップによる協働のまちづくりに全力で取り組み、3期12年において、真の地方分権を確立すべく、市町村合併及び行財政改革を積極的に取り組むとともに、夢と活力ある元気な会津若松市の実現を目指して、さまざまな施策を展開してまいりました。
 とりわけ、市町村合併につきましては、地方自治体を取り巻く環境が地方分権の進展、少子高齢化の急速な進行、生活圏域の拡大と行政ニーズの多様化、国の危機的な財政状況など、大きくかつ急激な変化の中で、大変厳しい局面を迎えておりますことから、これらの環境変化を踏まえ、自らの責任と判断により行政のスリム化を図り、質の高い行政サービスを持続して提供するため、地域住民に最も身近であり、自主・自立した基礎的な自治体となるべく、周辺町村との合併を決断いたしました。
 そして、さまざまな困難を乗り越え、2期目となる平成16年11月1日には平成の大合併として県内初となる北会津村との合併を実現し、さらに平成17年11月1日には河東町との合併を実現いたしました。その際の合併特例債を活用し、市民の皆様から要望が高かった、生涯学習総合センター(會津稽古堂)や学校給食センター、鶴城地区、城南地区、謹教地区の各コミュニティセンター、河東学園小学校やコミュニティプール、湊しらとり保育園、北会津中学校などの整備に取り組んでまいりました。さらに、平成24年度には、会津総合運動公園の最終事業として、新陸上競技場が完成する予定であります。
 また、合併に伴い、旧北会津村から引き継いだ宅地分譲事業では、民間事業者との連携により、当初予定の3年より半年も早く完売し、この民間事業者との協働による取り組みは「会津若松モデル」として全国的にも高く評価され、今後のまちづくりの上でも誠に意義深いものであります。
 さらには、この度整備の方針が示された県事業である阿賀川新橋りょうや会津医療センターの建設という大きな成果も得られたところであり、この合併は、新市の行財政基盤を確立し、会津の中核都市として新たな時代の扉を開くとともに、将来の会津地域の発展にとって極めて重要な役割を果たしたものと確信いたしております。
 また、市民との協働を図る上で、信頼される職員、信頼される市役所であることは、何よりも不可欠であるとの思いから、就任当初より、職員の意識改革を含めた行財政改革に積極的に取り組んでまいりました。具体的には、1期目において、人材育成基本方針を定め、職員の意識改革と資質の向上に努めるとともに、市民満足度をより高めるため、行政システム改革プランの推進による行政運営の効率化、質的向上を図ってまいりました。さらに、この改革の実効性を高めるため、行政評価システムを導入し、透明性をもって事務事業の有効性や効率性について客観的な視点から評価を行い、民間活力の導入をはじめ、各種事業のスクラップ・アンド・ビルドに努めてまいりました。
 また、2期目の平成15年には、長引く景気の低迷による市税の減少や国の抜本的な制度見直しによる地方交付税の減額などにより大幅な収支不足が見込まれ、危機的な財政状況に直面したことから、行財政再建プログラムを策定し、収支均衡のとれた柔軟、かつ強固な行財政基盤の確立を図るため行財政の抜本的改革に取り組みました。
 その結果、総枠配分方式による予算編成システムの導入、当初予算における年度内予算編成の徹底、市債残高の低減に向け、新規市債発行額を元金償還額以下にするなどにより、目標としていた収支改善額を上回るとともに、将来にわたって安定的な行財政運営を維持するための仕組みづくりが図られたところであります。
 さらには、行政システム改革プランに基づいた取り組みを更に推進し、行政運営の効率化と質的向上を図り、外部評価制度など行政評価システムの充実をはじめ行政組織機構の整備、入札制度の見直し、民間委託の推進、指定管理者制度の導入、パブリックコメント制度の導入、職員定員管理計画の策定などさまざまな行政システムの改革を実践し、市民満足度の向上に向け全力で取り組んでまいりました。
 こうした取り組みにより、市長就任時点から平成23年度時点で、一般会計、特別会計、水道事業会計全てにおける市債残高を約149億円、土地開発公社の借入残高は約84億円の合わせて約233億円を削減することができました。
 また、職員人件費では、合併時から160人減らし定員管理計画の目標値を達成することにより、約8億8千万円を削減することが出来ました。一方で職員が減ることにより行政サービスの低下を招かぬよう、民間活力を積極的に採用し、1期目にゴミ収集、2期目で給食業務を、さらに、3期目には、水道業務の民間委託を全国初の「会津若松方式」と呼ばれる取り組みにより、地元企業で設立された新会社を委託先として開始し、限られた人員の中でより効率的な市政運営に取り組んでまいりました。
 こうした1円たりとも無駄な予算は執行しないという強い信念によるマネジメントの結果、就任当時約65万円であった財政調整基金を昨年末の豪雪、さらにはこの度の震災復興への対応を持ってしても、現時点で5億1千3百27万2千円としたところであります。
 また、これまでの民間委託や財政再建策を講じてきた結果、実質公債費比率につきましては、18%を下回る数値になる見込みとなったものであり、指標的にも財政再建へ向けた一定の目標が達成できたところでありますので、これによって地方債の許可団体からの脱却ができるものであります。さらには、今年度の普通交付税額と平成22年度決算による剰余金額の見込が出たところでありますが、これらを合わせますと予算額を15億円ほど上回る状況となったものであり、財政調整基金とあわせますと、20億円を超える額を新市長に引き継ぐことができますことは、大きな成果であったものと認識をいたしております。
 さらに私は、ふるさと会津の不変的な価値を会津ブランドという理念に集約するとともに、会津ブランドをいかした元気なまちづくりを市政運営の指針とし、1期目の第5次、2期目の第6次長期総合計画の基本目標に位置づけ、各種施策の戦略的な事業展開を図ってまいりました。とりわけ観光につきましては、地域経済や雇用を支える本市の基幹産業であり、その振興を図ることが地域経済全体に広く波及効果をもたらすことから、地域単位では全国初の取り組みとして、仏教文化や食文化などの新たな観光の素材に光を当てたあいづデスティネーションキャンペーンの開催や、全会津が一丸となった極上の会津プロジェクト協議会による誘客活動やおもてなしを積極的に展開してまいりました。さらには、会津全域の長年の悲願でありました「会津ナンバー」の実現、NHK大河ドラマ「新選組!」及び「天地人」の放映、会津ゆかりの映画「バルトの楽園」の制作への支援・協力、ドラマ「白虎隊」のロケ地の誘致などを起爆剤とした誘客活動、二次交通の要となるまちなか周遊バ
ス「ハイカラさん」の運行、北会津・河東両地域の観光施設を巡回するコミュニティバス「ピカリン号」「みなづる号」の運行、地域の特性を活かした観光農業、グリーンツーリズムの推進、さらには、ライトアップ、まちなみ整備、環境用水水利権を活用した景観づくり等による本市らしさを演出したまちなか観光の推進などさまざまな取り組みをすすめてまいりました。
 とりわけ、鶴ヶ城は会津のシンボルであり、50年後、100年後を見据えた整備計画に基づき着実に整備していくことが、市政に携わる者の使命であり、それらの事業が必ずや会津地域の活性化につながるものと確信しておりますことから1期目においては干飯櫓・南走長屋の復元の完成、2期目においては、天守閣内部の大規模な展示リニューアルを行い、歴史ミュージアムとしてさらなる魅力の創出に努めてまいりました。そして、本年4月には、平成27年の天守閣再建50周年に向けた史跡若松城跡の整備の一環として、往時の天守閣の再現である赤瓦のふき替え、外壁の補修工事を国からの補助と基金等を充当し、一般会計の負担なく実施したところであります。
 さらに、「SAMURAI CITY」の商標を登録し、鶴ヶ城や白虎隊といった観光資源から、会津漆器や地酒、会津の食などの固有の文化、さらには「ならぬことはならぬ」といった精神文化を引き継ぐ願いから策定した青少年行動プラン「あいづっこ宣言」などさまざまな本市独自の魅力を全世界に発信し、会津のブランド力を高めながら、更なる地域の活性化に取り組んできたところであります。
 加えて、地産地消運動の推進、伝統的工芸品月間国民会議全国大会並びに会津ブランドものづくりフェアの開催、会津漆器・会津清酒をはじめとした地場産品の消費拡大事業の推進、会津大学を核としたベンチャー企業など新規産業の育成・支援、プレミアム商品券発行事業への支援など、観光以外の様々な分野においても本市の特性を最大限にいかした各種施策を講じることで、本市の活性化に向けた取り組みを進めるとともに、むつ市をはじめ横須賀市、伊那市、鳴門市などゆかりの地とのネットワークを広げ、人的な交流のみならず地域の物産品など経済的な交流も拡大してまいりました。
 そうした中、世界的な金融危機の影響により、半導体製造企業の雇用情勢の悪化やこれに伴う消費の低迷、さらには中心市街地における大規模小売店舗の撤退による中心商店街の空洞化という本市のまちづくりの上で極めて厳しい局面を迎えました。
 こうした状況においても臆することなく、私自らのトップセールスにより、企業誘致活動を戦略的に展開するとともに、各種優遇制度の活用による企業立地を推進してまいりました。また、新たな雇用の創出を図るため、会津若松河東工業団地の分譲を開始したところであります。次世代を担う若者たちが自分たちの生まれた場所で夢と希望を持って暮らして行く環境をつくることは、私の強い願いであり、その実現に向け、全力で取り組んでまいりました。こうした状況の下、今年2月に、環境エネルギー関連企業である「グリーン・サーマル株式会社」の立地が決定しましたことは、この上ない喜びでありました。
 一方、中心市街地の空洞化に歯止めをかけ、まちなかの賑わいを取り戻すため、神明通りを中心に「まちなかテナントミックス事業」を実施、これにより、16の新規テナントが空店舗に入居し、既存17店舗がリニューアルオープンされ、まちなかの活性化に大きな成果をもたらすことができました。
 さらには、鶴ヶ城周辺の公共施設で、老朽化や機能移転の観点から、利活用方法の検討が必要な鶴城小学校、陸上競技場及びサブトラック、会津学鳳高校跡地、会津図書館、市役所庁舎の将来の整備・利活用の方向性を打ち出した「鶴ヶ城周辺公共施設利活用構想」により、将来のまちづくりの方針を市民の皆様へお示しすることができましたことも誠に意義深いものであると確信いたしております。 さらに、本来ならば、4月26日で任期満了でありましたところ、震災により特例で延長された今日までの期間におきましては、IT関連企業であります「サムライソリューションズ株式会社」経営コンサルティング、テクノロジーサービス、アウトソーシングサービスを提供するグローバル企業「アクセンチュア株式会社」の本市への進出が決定すると共に、大熊町に本社を有し業務用カメラ部品などをはじめとする精密部品の加工・製造企業である「株式会社サンブライト」の会津若松河東工業団地における新たな拠点工場の誘致が決定したところであります。
 また、会津藩藩祖「保科正之公」役の松本幸四郎さんをはじめ、一流の俳優、スタッフ陣により、本市ゆかりの小説「天地明察」の映画化が決定したことに加え、平成25年のNHK大河ドラマには、会津藩士の娘で、「幕末のジャンヌダルク」と呼ばれた「新島八重」の生涯を描く「八重の桜」が制作・放映されることとなりました。この2作品は、共に先人たちの真っすぐな生き方に光があたり、日本全体の復興の励みになるような作品になるものと大いに期待いたしております。
 さらには、平成16年度に引き続き、「平成23年度伝統的工芸品月間国民会議全国大会」が本市を会場として開催されることが決定するとともに、観光庁所管による「訪日外国人旅行者の受入の拠点となる地方拠点」の選定が決定されるなど、市民の皆様に対しまして、誠に喜ばしい話題をお示しできましたことを大変嬉しく感じる次第であります。
 私は、今後、こうした明るい話題を、千載一遇の好機としてとらえ、本市経済の再生はもとより、観光誘客、農産物などに対する風評被害の払拭、さらには、大熊町をはじめ避難されている方々の希望の布石として、大いに施策に活かしながら、一丸となって取組み、誇りと輝きに満ちたふるさと会津の創造にむけ、力強くまい進されますことをご期待申し上げるものであります。
 私にとって誇りある会津若松市の市長としての3期12年あまりの年月は、かけがえのないものであり、本市のために全身全霊をかけて貢献できましたことは、この上ない誉であり喜びであります。これもひとえに、市民の皆様のご理解とご協力、市議会、職員との連携のたまものであり、心から御礼を申し上げるものであります。
 しかしながら、現在の日本の社会経済情勢は未だ不安定で不透明な状況にあり、さらには、今般の東日本大震災への対応など、市政運営には今後も多くの困難と試練が待ち受けているものと憂慮いたしております。
 市民の皆様におかれましては、どうか今後とも、本市の更なる飛躍に向け、より一層のご尽力を賜りますよう心からお願い申し上げるものであります。
 私も、今後市長職を辞した後は、この12年あまりの経験と、築きあげてまいりましたネットワークを最大限に活かし、いち早い復興と被災者救済のため、さらには誇りある「ふるさと会津」のさらなる発展に向け、精一杯努力してまいる所存であります。
 結びに、市民の皆様の市政発展に対するこれまでのご尽力に、改めて深く、敬意と感謝を申し上げますとともに、今後とも、さらなるご尽力を賜りますようお願い申し上げ、御礼に変えさせていただきます。
 誠にありがとうございました。


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